生後3か月の長男を激しく揺さぶったとして虐待を疑われた母親が控訴審で無罪を言い渡されました。

笹田弁護士:
「判決の素晴らしさに、ご本人も涙を流していましたし、そういう気持ちが伝わってくる素晴らしい判決だったと思います」

 こう話すのは、控訴審で無罪判決を受けた母親(28)の弁護士です。

 親子の生活が一変したの2016年。岐阜県大垣市の自宅で当時生後3カ月の長男が大けがをし、脳などに重い後遺症を負いました。母親は激しく揺さぶる暴行を加えたとして傷害の罪に問われたのです。

 一審は「乳幼児ゆさぶられ症候群」の認定が争点でした。弁護側は「授乳クッションを枕にソファで寝ていた長男が床に落下した事故」と主張し、岐阜地裁は「傷害が揺さぶりで生じたとするのは合理的な疑いが残る」と無罪判決を言い渡しました。

 しかし、検察側が控訴。控訴審では、これまでに検察側が医師の鑑定書などの証拠の採用を求めましたが、名古屋高裁は却下していました。

 そして迎えた28日の控訴審判決…。

<裁判長>
「主文、本件控訴を棄却する」

 名古屋高裁の鹿野伸二裁判長は「原判決に不合理な点はなく、検察は他の原因では傷害が生じないことの立証が十分ではなかった」などとして、一審の無罪判決を支持。検察側の控訴を棄却しました。

秋田弁護士:
「SBS(乳幼児揺さぶられ症候群)仮説が崩壊していく中で、今回のような検察官の無理な控訴がなされている、訴訟追行がなされていることが、極めての問題である」

 判決を受けた母親は…。

母親:
「率直に無罪判決が出てホッとしました。肩の力の抜けない状況に苦しさや不安でたまりませんでしたが、周りの存在に支えられて何とか今日までくることができました。まだ上告されるか、されないかが確定するまでの期間がありますが、今度こそ終わってほしいと強く思います」