政府は28日午後に対策本部会議を開き、東海3県など19の都道府県での「緊急事態宣言」、それに8つの県の「まん延防止措置」について9月30日の期限で全面解除することを正式に決定しました。

 時短営業や酒の提供停止などの制限も一部緩和される見通しで、苦しい時期を過ごしてきた飲食業界では、巻き返しに向けた動きが始まっています。

 28日、政府が分科会に示した緊急事態宣言解除などの方針。19都道府県の宣言と8つの県のまん延防止措置について、9月30日の期限をもって全て解除する見通しです。

 宣言が解除された地域の飲食店には引き続き営業時間の短縮を求めますが、現在停止している酒の提供は再開が認められることになります。

 東海3県ではおよそ1か月ぶりとなる宣言解除…。苦しんできた飲食業界では、早速、解除に向けた準備が進められていました。

焼鳥店の女将:
「アルコール提供ができなくなってから、1か月半以上サーバーを使っていないので、洗浄をプロの方に頼んでやってもらっています」

 名古屋市中区錦3丁目の老舗焼鳥店「鳥勢」。宣言中、ずっと使われていなかったビールサーバーのカバーもついに外れ、厨房も冷蔵庫から床まで丸ごと大掃除していました。

 この店では宣言が出てからのおよそ1カ月間、夜の営業を休止。時短要請は当面続きますが、解除されれば酒の提供も再開されることとなり、すでに常連客からの10件以上予約の電話がかかってきたといいます。

鳥勢の女将:
「本当にうれしい。このままずっと夜営業できるという思いで、このまま収束してもらいたいなという思いです」

 愛知県が飲食店での感染対策強化を図るために導入した認証制度「ニューあいちスタンダード」通称「あいスタ」。アクリル板の設置や換気・消毒など、50のチェック項目を満たした飲食店だけが認証を受け、証明となるステッカーを発行されます。

鳥勢の女将:
「アクリル板なんですけど、十字にしろと」

 この店でも項目に従い、レジにアクリル板を新たに設置するなどしました。愛知県ではこの「あいスタ」の認証店では、ほかの店より1時間長い午後9時までの営業が認められるほか、酒の提供も午後8時まで可能となります。

 酒類提供が再開される方針は、酒の卸売業者も歓迎されています。

知多善の担当者:
「こちらにあるのが我々の主力の瓶ビールでございます。今はまだ1段しかありませんが、なんとかこれが2段3段と積み上がりますように、本当に期待しております」

 期待の声を上げるのは、東海地方の飲食店などに酒を卸している名古屋市東区の業者です。

 宣言中は酒類の提供停止で飲食店からの注文が激減…。例年の9月に比べ、9月は7割以上も売り上げが減り、まさに「業界の危機」でした。

知多善の担当者:
「ようやくという感じで、非常に喜びを感じている次第でございます。いよいよ1日から(店を)開けるよということで、ビールサーバーのメンテナンスしてくださいとか、発注するよという声は結構いただいている状況です」

 宣言の解除は正式決定前ですが、すでに飲食店から生ビールなどの注文が入ってきているといいます。

 飲食業界が待ち望んでいた宣言明け。今度は巻き返しの日々が長く続くことを願っています。

知多善の担当者:
「まずは少人数から、少しずつ家飲みから外飲みにシフトしていただいて、外食って楽しいなと実感してもらいたいですね」