10月18日、岐阜市の畑で6万個もの「富有柿」が盗まれる被害がありました。被害者に話を聞くと、大量の柿を盗んだ驚きの手口が見えてきました。

被害者の松井さん:
「ここまで来たら現物ねぇもんでさ。ああ盗られたと、その一言です」

 半ば諦めたように語るのは、岐阜市で40年以上にわたり柿を育てている松井敏浩(63)さん。

 10月18日正午ごろ、柿畑を訪れたところ、大きな異変に気付きました。

松井さん:
「1年かけて作ったやつが収穫直前でこうなった。情けないですね」

 丹精込めて育てた収穫前の富有柿およそ6万個が、何者かに盗まれていたのです。

 被害総額はおよそ300万円。6万個もの富有柿をどうやって盗んでいったのでしょうか。

松井さん:
「専用の収穫ばさみがある、それで切ったやつです。キレイに切ってっとるで、本職に近い人の仕業」

 松井さんによると、木の枝は鋭く切られていて、農家が収穫に使うハサミで切ったものと似ているといいます。

 このため松井さんは、手慣れた人物による犯行ではないかと推察していますが、その一方で、実は盗まれた柿には「プロの農家なら手を出さない」ある特徴がありました。

松井さん:
「半分青い柿で、本職にしてみれば手は出さん柿です」

 この畑の柿の収穫時期は毎年11月ごろ。盗まれた柿は食べごろには早く、本来の半分ほどの価格でしか売れないといいます。

松井さん:
「獲る前に根こそぎ持って行って、ハッキリ言って面白くないです。一番気分悪いわ。柿返せと、本当にね。返せるものなら返して」

 警察は被害届を受理し、窃盗事件として調べています。