6日、東京ドームで行われたホンダ熊本と東邦ガスの試合。敗れた東邦ガスの選手の中に1人、充実感を漂わせる男がいた。水本弦(26)。この名を聞いてピンと来る人も多いのではないだろうか。

 2012年、現・阪神の藤浪晋太郎を擁し、春夏の甲子園を制した大阪桐蔭のキャプテンだ。春のセンバツでは1回戦であの大谷翔平を擁する花巻東と対戦し、勝利している。

 水本は高校卒業後、大学野球の強豪・亜細亜大学に進学し、その後社会人野球の名門・東邦ガスに進んだアマチュア球界のエリートだ。そんな水本がこの都市対抗を最後にユニフォームを脱ぐことを決めていたのだ。

 初戦の三菱重工East戦では、2対1と1点リードの6回表、ツーアウト2塁で代打で登場すると初球を捉えライト前へ、タイムリーとはならなかったが、その存在をみせつけた。

 敗れた6日の試合では、1点ビハインドの9回、先頭として代打で登場しセカンドゴロに倒れたが、この場面で起用されるあたりが、まだまだチームにとって必要なピースだということは言うまでもない。しかし、本人曰く「何の後悔もなくお腹いっぱい野球をやりきれた」とのこと。

「今後は違う分野で活躍できるように頑張ります」と話す26歳の青年に、この先も注目したい。