新型コロナの感染状況が落ち着きを見せる中、変異ウイルス「オミクロン株」はまだ分からないことが多く、その感染拡大に備える医療現場の今を取材しました。

 名古屋市立大学病院でコロナ患者対応にあたる服部友紀医師。一度に最大12人の重症患者を受け入れてきた名市大病院。

 ここ1カ月ほどは患者ゼロの状態が続き、落ち着きを取り戻した治療現場を案内してもらいました。

名古屋市立大学病院の服部医師:
「ここが元々は救急病床で、今も救急病床として救急患者が入るということで、診ているんですが、コロナ患者が来るとここがコロナ病床に変わるという感じです。(Q.第4波・第5波の時は患者がここに?)そうです。全員そうですね」

 コロナ治療では、新たに扉を設けて病室を分けることや、フィルタを通して室内の空気を外に出す「陰圧装置」などの対応が必要です。

服部医師:
「(元々は)この奥に看護師さんの控室みたいなのがあって。(Q.病院の中でもスペースが足りない?)うちは足りないですね。足りない場所を何とか知恵を絞って作り変えて対応してきた」

 患者の数は減っても、体制は維持していました。

 コロナと闘い続けておよそ2年…。デルタ株の猛威で病床がひっ迫した第5波をも乗り越えた経験を踏まえ、懸念されるオミクロン株への対応も冷静に見据えています。

服部医師:
「オミクロンだから対策をしようというのは特に今の所なくて。感染力の強い変異株だというその体制はデルタ株からやってますから、デルタ株とオミクロン株で対応を変えるかというと、そこはない」

 一方で、今後の感染拡大で重症患者が増えた場合への備えも進めているといいます。

服部医師:
「愛知県からもうちょっと重症病床を増やす算段をつけといていくれという依頼はありますね。感染対策ができる場所を作って、そのかわり別の病床を減らして、そこにあふれた重症者を入れるという算段は付けています」

 通常の2倍から3倍の医療スタッフが必要になるという重症患者への対応。

2年目の研修医:
「どんな人もコロナと思って対応しないといけない。人出が足りない分、1人で患者さんを診ないといけない時も多くて大変でした」

 名市大病院では、年末年始の救急外来で医師1人・看護師2人を増員する予定。人手不足に悩んだ経験さえも、オミクロン株や第6波への備えに変えています。

服部医師:
「僕らとしては、デルタ株だろうがオミクロン株だろうがアルファ株だろうが、やることは同じで対策も同じ。今までやってきたことを今後も粛々とやっていく。それに尽きると思います」