第6波で新型コロナウイルスの感染者が急増し、重症化したり亡くなったりする高齢者がじわじわと増え始めています。

 この状況をどう改善すべきか、医療現場の声を聞きました。

 話を伺ったのは、藤田医科大学病院の岩田充永副院長です。

岩田副院長:
「いつ誰が感染してもおかしくないぐらい感染が蔓延している。重症化しにくいということが、非常に楽観的に捉えられ過ぎていたということは考えられる」

 オミクロン株はこれまでの株より感染力が強い一方で、重症化しにくいと示唆されています。しかし、愛知県の死者と重症者の推移を表したグラフを見ると、第6波に入ってから2日までに亡くなった人数は合わせて51人。1月31日は7人、2月1日は10人、2日は8人と急に増え始めました。

 感染者の急増に伴い、重症者の人数もじわりじわりと増え始め、2月2日時点で22人になりました。ただ一口で重症と言っても、第5波までとは違う傾向が見え始めたと言います。

岩田副院長:
「ほとんどは基礎疾患をお持ちの、心臓が悪いとか腎臓にご病気があって透析を受けられている方、肺に持病がある方などが感染して、その間に持病が悪化してしまうことで集中治療が必要になる」

 現在重症となっている患者は、オミクロン株が直接重症化をもたらすのではなく、感染による発熱が影響して持病が悪化し、重症化する場合が増えているそうです。

 重症者が増えれば、病院にかかる負担も増えます。今はまだ重症者病床に空きがあるものの、別の心配事が岩田副院長を悩ませています。

岩田副院長:
「ご家族が休園や休校になったことで出勤できない職員が、多いときで85人いた。濃厚接触だの自宅隔離だの、今までの戦い方では社会インフラが回っていかない」

 そんな中、愛知県の大村知事はこの状況を抑えるため、緊急事態宣言を出すことで規制を強化し感染を抑えるべきとの考えを示しています。

岩田副院長:
「まん延防止重点措置もそうだがかなり意外だったので、ワクチンも皆さん2回打ち、マスクをつけ、重症化を予防するための薬も治療法もある中で、いよいよ社会活動との両立を考えねばならないフェーズと思っていた」

 宣言による強制的な抑え込みではなく、重要なのは一人一人の「ウィズコロナ」の意識の強化、コロナウイルスが存在する前提で新たな日常を生きていくことだといいます。

岩田副院長:
「年に1度、コロナワクチンとインフルワクチン、できれば一緒になったワクチンが打たれ、ご高齢の方・持病をお持ちの方には重症化すると命にかかわる危険もあるから気を付けようという認識に皆がなったら、それが一番のゴール。3回目ワクチンを打って感染する人も中にはいるが、そういう方の症状は非常に軽い。特に持病をお持ちの方・ご高齢の方は、できるだけ早く3回目のワクチンを打っていただくのが大切です」