名古屋市などを営業区域とするタクシーの運賃が、年内にも値上げされる見通しとなりました。

 中部運輸局によりますと、名古屋市と周辺の16市町村で運行するタクシー会社は70社ありますが、その大半が運賃の値上げを申請したということです。

 例えば最大手の「つばめ自動車」では、初乗り運賃「1.031キロ450円」を「1キロ500円」。加算運賃は「231メートルごとに80円」を「212メートルごとに90円」と申請しています。

 名鉄タクシーホールディングス傘下の6社や、東和交通も値上げを申請していて、最終的な値上げ幅は各社の申請を踏まえ、国土交通省が決定することになっています。

 値上げになれば、消費税増税時を除くと2017年以来となりますが、なぜ今運賃の値上げが検討されているのでしょうか。

東和交通の営業所長:
「(新型コロナで)結構ダメージを受けていましてですね、かなりの売上ダウンという形にはなりました」

 一因として新型コロナの影響を上げますが、それだけではありません。

 最近よく見かけるタクシーの便利な機能にも値上げの要因がありました。

(リポート)
「値上がりの背景の一つには、このようなキャッシュレス決済の対応があるといいます」

 この会社では保有する120台のタクシーの9割以上でキャッシュレス決済が可能となっていますが、設備投資や手数料などの負担が増えています。

 さらに燃料のLPガスの価格も急激に上昇していて、経営を圧迫しています。

東和交通の営業所長:
「やはり現状のままいくのはこれは非常に苦しいということで(値上げするのは)苦渋の決断となりました」

 タクシーの運賃改定は、申請した事業者が保有するタクシーの台数が地区全体の7割を超えると、国が検討に入ることになっていますが、5月末時点で9割に達していて、年内にも値上げが実施される見通しです。