スペインを代表する芸術家ジュアン・ミロの作品展が名古屋市中区で開かれています。テーマはミロと日本の繋がりですが、実は名古屋とも深い繋がりがありました。

 1930年代のミロの代表作。カタツムリ、女、花、星を意味する4つの単語が連なるように描かれ、文字と絵が複雑に絡み合うことで立体的な奥行き感を生み出しています。

 ピカソやダリと並ぶスペインの巨匠ジュアン・ミロ。絵画だけでなく、壁画や彫刻、陶芸など幅の広い表現活動を続け、多くの作品を残しました。

 その創作の源には日本文化への憧れがあったとされ、現在開催中の作品展では、ミロと日本の繋がりがわかる絵画や焼き物など、およそ140点の作品が展示されています。

加藤マリエさん:
「なかなか温厚な方だとお見受けしましたけど。子どもみたいな顔をしてね、(父が作っている作品を)見ていらっしゃいました」

 在りし日のミロの様子を語るのは、日本を代表する陶芸家・加藤唐九郎さんの次女・マリエさん。生前2度来日しているミロ。初来日は1966年。この時、名古屋市守山区の加藤さんの工房を訪れました。

 マリエさんは、茶室で立てた抹茶でおもてなしをしましたが…。

加藤マリエさん:
「飲まれなかったですね。最初から外国人さんは飲まれないことは分かっていましたのでね、『多分(抹茶を)立てても飲まれないよ』って父にはそう申し上げたんですけどね。本当にいい思い出です」

 抹茶には手をつけなかったミロですが、唐九郎さんの手さばきに食い入るように見入っていたといいます。

 多くの作家らと交流したこの日本滞在が、ミロのその後の作品に大きな影響を与えました。

 初来日後にミロが描いた作品。画面いっぱいに広がる黒い生き物は、日本の書家のさばきに着想を得て、炭が垂れる様で表現しています。

愛知県美術館の主任学芸員:
「具体的に日本のどういうところに惹かれたのかというのを、しっかり調べてお見せしていますので、ぜひそこには注目していただきたいなと思います」

「ミロ展 日本を夢みて」は、7月3日まで名古屋・栄の愛知県美術館で開かれています。