新型コロナの感染者数の急増で、三重県では観光地や医療従事者から危機感を募らせる声が出てきています。また、愛知県の大村知事は「対策強化宣言」を出す考えを明らかにしました。

 7月29日、三重県津市のテーマパーク「おやつタウン」。夏休みに入り、親子連れでにぎわっているようにも見えますが…。

おやつタウンの担当者:
「3連休(7月16〜18日)は毎日入園規制をかけなきゃいけないぐらいのお客さまに来ていただいたんですけども、その1週間後の土日(7月23日・24日)は通常であれば1000人以上のお客さまに来ていただけるんですけども、土曜日は700人ぐらいのお客さまに減りまして」

 3年ぶりの行動制限のない夏休みを狙い、7月15日にリニューアルオープンしたばかりだった「おやつタウン」。およそ3億円かけて5つのアトラクションを増やすなどしましたが、団体予約のキャンセルが相次ぐなどし、来場者は想定の7割ほどにとどまっています。

おやつタウンの担当者:
「三重や全国で(感染者が)増えるとともに、(客が)一気に減ったなと実感しました。CMも今回しっかりと流してまして、盛大に記者発表もやらせていただいたので、そんな中ではやっぱり残念な気持ちはございますね」

 三重県では7月21日に感染者数が初めて2000人を超えると、わずか1週間後には過去最多となる3474人を記録。

 感染の急拡大の中、迎えた夏休み。その影響は薬局にも…。

ホリ薬局の社長:
「抗原検査キットが入っている箱になりまして、今日だけで60個以上は使ったことになります。過去最高の数になるかと思います」

 県の無料検査事業者に登録されている鈴鹿市内の薬局では、7月29日、抗原検査を求める人が過去最多に。特に夏休みに入り、「県民割」に必要な陰性証明のため、週末に向けた旅行者による検査が増えているといいます。

 しかし、抗原検査キットの入荷に見通しが立たなくなってきています。

ホリ薬局の社長:
「問屋さんからは『次の出荷はいつになるかわからない』というような状況を言われました。かつてない事態で、非常に増えているなというのを肌で実感しております」

 8月1日朝、母親に抱かれながら診察を受ける幼い子ども。津市にある三重病院の小児科では、新型コロナに感染した小児患者の対応に追われています。

小児科医学博士 菅田医師:
「第7波が始まったのと同時期に、RSウイルスという感染症の流行が始まった。重なって流行したことで、病床の使い方が非常に難しくなった」

 新型コロナだけでなく、乳幼児に多いRSウイルスの感染患者も運び込まれるため、お互いが感染しないように病床を振り分けていますが、その負担が大きくなってきています。

 この病院では、新型コロナ用の病床はまだ半分ほどの14床の空きがありますが、油断できない状況だといいます。

小児科医学博士 菅田医師:
「冬に流行する代表的な呼吸器感染症であるインフルエンザがまたコロナの感染症と重なったりすると、各病院でパニックになったりする可能性がある」

 一方、愛知県では…。

大村愛知県知事:
「『BA5.対策強化宣言』を愛知県においても発動していくことを検討していく」

 大村知事は8月1日、「BA.5対策強化宣言」を今週中にも出す考えを明らかにしました。

 宣言には、感染リスクが高い場所への高齢者らの外出自粛や、帰省時の検査の徹底などが盛り込まれるとみられています。

 そうした中、厚生労働省は8月1日、ワクチンなどについて議論する厚生科学審議会を開催。感染症法上の分類の引き下げについて注目が集まっていますが…。

岸田首相(7月31日):
「いま感染が拡大している。このタイミングにおいて、感染症法上の位置づけを変更するということは考えていない」

 岸田総理は早期の見直しをした上で、第7波収束後の引き下げも視野に検討する考えを示しています。