22日、名古屋高速で大型バスが横転して炎上し、運転手や乗客ら9人が死傷した事故では、愛知県警がバスの会社に家宅捜索に入るなど捜査が進められています。そして、事故当時の状況が徐々に明らかになってきました。

 名古屋市北区の名古屋高速でバスが横転して炎上し、9人が死傷する惨事となった事故から一夜明けた23日、愛知県警がバスを運行する小牧市の「あおい交通」を家宅捜索。

 バスの男性運転手への過失運転致死傷の容疑で本社や営業所に入り、勤務記録などに関する資料を押収しました。

 事故が起きたのは22日午前10時12分、名古屋高速・小牧線で名古屋市内から県営名古屋空港に向かっていた路線バスが、出口と本線の分離帯に衝突して横転。その後炎上しました。

 黒焦げになった車内からはバスの運転手・大橋義彦さん(55)と乗客とみられる2人が見つかり、その場で死亡が確認されました。

 また28歳から53歳までの乗客の男性6人と、事故に巻き込まれた後続の乗用車の1人が軽いケガをしました。

【動画で見る】脱出した乗客はガラス割れた後部から…9人死傷のバス炎上事故 横転のため非常口からの脱出不可能だったか

 9人が死傷する惨事となった事故は、なぜ起きたのでしょうか。

(リポート)
「事故があった豊山南出口に近づいてきました。高速の本線から出口へと分かれる車線があります。あちらがバスが衝突した分離帯です。黄色のクッションドラムは新しいものに変わっていますが、分離帯のコンクリートは崩れていて事故の痕が残っています」

 事故が起きた豊山南出口は、手前から出口に向かうための車線に分岐。バスは事故現場となった豊山南出口を降りる運行ルートで、捜査関係者によりますと、目撃者の証言から、バスは事故の直前に予定通り出口へと向かう車線を走行。しかし、突然左に曲がり分離帯に衝突、そのまま横転し炎上したとみられています。

 路面には目立ったブレーキ痕やスリップしたような痕は残っていなかったということです。

あおい交通の松浦社長:
「昨日お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りし、またケガ人の方へ心よりお詫び申しあげます。申し訳ございませんでした」

 バスを運営する「あおい交通」は23日、事故後初めて会見を開き、社長が謝罪。そして事故の原因については…。

松浦社長:
「分離帯にぶつかったこと自体は(ドライバーの)運転ミスではないだろうかと。推測の域ですが、急に降り口に近づいて慌てたハンドル操作が行われたのではないかと」

 一方、横転したバスから乗客が逃げ出した方法については…。

松田運行主任:
「左を下にして転倒しているので、もう一つの非常口が右側にありますが、上を向いてしまっているため、これは使えなかったと思われます」

 横転したため、右側側面にある非常口からの脱出はできなかったと推測。捜査関係者によると、逃げ出した乗客は全員、割れたリアガラスから脱出したということです。

 事故が起きた路線は、23日もあおい交通のバスが通常運行していて、利用客からは不安の声が聞かれました。

10代男子大学生:
「名古屋空港でワクチン接種のバイトがあって。昨日もあおい交通使った。めちゃくちゃビックリしました。ちょっと不安ですけど必要なんで。使わないと行けないのでしょうがないかな」

20代女子大学生:
「元から心配性で、バスとか乗るのは怖いなってタイプだったんで余計に(心配)とは思いますけど。(車内では)寝ないように。寝ていたら瞬時に判断できないかな」

 身近な路線バスが横転・炎上する事故は、なぜ起きてしまったのか…。運転手の大橋さんの当日の様子について、運営会社は…。

松田運行主任:
「事故当日は午前4時40分からの出勤なので、特に睡眠等、休息時間については特に問題なかったものと思っております。(出勤時)向かい合っての点呼異常なし。本人からも異常なしということで、車両点検を行い、朝5時に出庫しています」

 大橋さんは事故の2日前の20日は休み、前日は午前5時ごろから午後2時半過ぎまでバスを運転し、帰宅。勤務状況に問題はなかったと説明しました。

 警察は事故の様子をとらえたカメラの映像や、押収した資料などから事故の原因を調べています。