円安を止めるため、政府・日銀は22日、円を買ってドルを売る為替介入を実施しました。実に24年ぶりに抜かれた「伝家の宝刀」、この円安を食い止めることはできるのでしょうか。

 愛知県小牧市の河瀬養鶏。名古屋コーチンや赤鶏など、およそ2万羽を飼育しています。しかし今、エサが悩みの種だといいます。

河瀬養鶏の河瀬社長:
「今年の7月に1トン当たり1万3000円の値上がりです。かなり厳しいですね」

 エサには輸入したトウモロコシや大豆なども使うため、円安の今はエサ代の高騰が続いているといいます。

 1日に消費するエサは実に2トン。円安の影響でかさむコストは1日で2万6000円、1ヶ月で78万円、年単位では900万円以上増える計算です。

河瀬養鶏の河瀬社長:
「円安がこれ以上続くと、ちょっと厳しいのかなと」

 この円安ピンチに22日、政府・日銀が動きました。実におよそ24年ぶり、「円買いドル売り」の為替介入を実施。

 為替介入とは、止まらない円安に対し、財務省の指示のもと日銀が大量のドルを売って円を買うことで、いわば強制的に円高に導くことです。

 東京外国為替市場では一時145円台後半だった円相場が、為替介入を受けて一気に変動し、140円台後半まで円高が進む場面も見られました。

 帝国データバンクによると、今年は約2万品目が値上げ、あるいは値上げの予定で、1世帯あたりの負担額は年間6万8760円増えるといいます。

 小牧市の河瀬養鶏でも、名古屋コーチンの卵を1個60円から70円に、赤鶏の卵は1キロ540円を650円に一時的に値上げ。客に理解を求めながらこの状況を乗り切ろうとしています。

河瀬養鶏の河瀬社長:
「(為替介入は)ありがたいんですけど、まだ目に見えた効果は分からないので」

 名古屋市中区のメキシコ料理店「ホットスパイスムーチョチキン」は、手巻きのタコスなどが人気の店ですが、9月から輸入品のサルサソースやメキシカンビールが1割値上げに。それでもメニューの価格は据え置いています。

ホットスパイスムーチョチキンの店長:
「水道光熱費とかをしっかり管理するとか、アルバイトさんとかの労働時間をお願いして短くしてもらったりとか、あの手この手でやりつないでいる感じです」

 今回の為替介入に期待する一方、24年ぶりの施策には少し心配も…。

ホットスパイスムーチョチキンの店長:
「対策をしてくれるのはお店としてはありがたいんですけど。それが終わった時の反動とかで今まで以上に…ということも心配です」

 政府・日銀が下した伝家の宝刀、為替介入。効果はいつまで続くのでしょうか。

第一生命経済研究所 首席エコノミストの永濱利廣さん:
「今回のドル高円安の背景というのは、アメリカのインフレがなかなか落ち着かないというところにありますので、為替介入の効果は限定的だと思います」