アマチュア野球の王道を歩んだ東邦ガス・小林満平選手が引退

 社会人まで続けた野球を、自分の理想通りに終われる選手はどれほどいるのだろうか。

 東邦ガスに所属する小林満平選手(26)が、今季限りでの引退を発表した。

 彼はアマチュア野球界で常に全力を尽くしてきた。1996年に名古屋市天白区で生まれ、小学4年から野球を始めた。名古屋平針HBCクラブでプレーし、三好東郷ボーイズの中学3年時には、日本代表に選ばれ世界大会で優勝。そして、2012年に中京大中京高校に進学。主将を務め、3年夏の県大会では3番・三塁手で出場し、ベスト4。

 そして「もっと高いレベルで野球がやりたい」という思いで法政大学へ。大学日本代表候補に3度選ばれ、2年春と4年秋には外野手としてベストナインに輝いた。

 ずっと夢だったプロ野球選手。しかし、4年春に打撃不振になり、プロ志望届提出を見送った。それでも、プロ野球への夢を諦めたわけではない。地元・東邦ガスで鍛え直すことにした。

 入社後、4年連続で都市対抗野球大会に出場し、去年は都市対抗ベスト8。1番・左翼手としてチームの勝利に貢献し、東邦ガス史上最高の結果を手にした。

 しかし、アマチュア野球界の王道を歩んできたが、去年の夏頃に4年目となる2022年で引退することを決意。

 そして9月17日、日本選手権東海地区予選・3回戦に1番・左翼手で出場。「チームに結果で恩返しがしたい」という思いで、チームで唯一マルチ安打を放つも、敗戦。最後の対戦投手は、大学の同級生で親友のHonda鈴鹿・森田駿哉投手だった。

 今季、打率3割1分・盗塁数18とキャリアハイの成績だった小林選手だが、何故現役を退くのか。要因の一つとして、自身の課題だった守備力を改善できず、プロでは通用しないと痛感したことだという。

 社会人野球の選手はプレーヤーを引退後、そのまま所属企業で社業に専念することが多い。しかし小林選手は、引退後のビジネスマンとしての生活を見据え、ITパスポート、簿記2級など様々な資格を取得。またデータ分析、広報活動など様々な分野にも挑戦してきた。

「今までプロ野球選手を目指し、社会人でもプレーしてきたが、区切りを付ける時がきた。野球を通してたくさんの事を学び、たくさんの人と出会うことが出来た。それは僕にとっての財産である。これからは、スポーツ選手の新しいセカンドキャリアの道筋になりたいと考えている」

 現役生活17年。本気でプロを目指した社会人野球選手が、第二の人生で花を咲かせる。