今年は記録的な「円安」が続いていましたが、先週の後半、一気に7円以上も「円高」が進みました。為替による影響はすでに大きく広がっていますが、今後はどうなるのでしょうか。

 記録的な円安も「一服」となるのでしょうか。10月には一時1ドル150円を突破し32年ぶりの円安水準になっていましたが、11月10日、アメリカの消費者物価が市場の予想を下回ると、今度は1日で7円以上円高に。その後も1ドル130円台で推移しています。

 急激な為替の変動には、名古屋でも戸惑いの声が上がりました。

投資家の男性:
「アメリカの事情次第だもん、日本だけでどうなるもんじゃないもんね。日本も低金利を続ける以上は、もっと円安になるんじゃないかな。先のことは何にも分からないみたいだね」

建築関係の男性:
「円安になると仕入れが上がってきますし。3カ月単位で値段が1割2割変わってくる状況だもんで、あまり変動があると商売にはよくないというか」

 日本銀行の黒田総裁は14日に名古屋で講演し、今年に入っての円安の進行を念頭に、「急激な為替変動は望ましくなく、引き続き政府と連携して物価への影響を注視する」と述べました。

 その後の会見では、「異常な一方的で急速な円安の傾向はいったん止まっているように思います。それ自体は大変結構なことであると思っております」と、現在の状況を評価しました。

「円高歓迎」となるのは、急激な円安がもたらした企業や家計へのマイナスの影響が、すでに大きく広がっているためです。

 輸入食品や電気・ガスなどの光熱費上昇など、家計の負担は限界寸前です。

 円安の影響はスキー場にも出ています。岐阜県郡上市のスキー場「ダイナランド」。今年で創業50周年。12月10日のオープンに向けて、人工造雪機でコースの土台をつくっている真っ只中です。

 しかし、今年は円安などの影響が重くのしかかります。

ダイナランドの支配人:
「やはり電気代とか重油代が上がってきてまして、どうしてもリフト料金を値上げせざるを得ない状況になっています」

 現在フル稼働中の造雪機など、12月の本格オープン前でも電気代は1日およそ50万円。営業が始まっても、リフトや照明などたくさんの電気が必要です。

 そこで、新型の省エネ型の造雪機を導入して経費を減らすほか、夏場はキャンプ場としてオープンして収益を増やす努力をしていますが吸収しきれず、主な収入源となるリフト券を大人の1日券で500円値上げすることにしました。

ダイナランドの支配人:
「(電気代は)一昨年から比べたら昨年は約30%ぐらい上がりました。今季の予想としては昨年ベースから60%ぐらい上がる想定をしていますので。このような大幅な値上げは史上初めてかなと」

 開業50年の歴史で最大の大幅値上げ。レストランでも原材料の高騰を受けて、一部のメニューで50円ほど値上げする予定のほか、スキー板やブーツなどのレンタルも100円値上げする予定です。

 ガソリン代の高騰などで客足が遠のく心配もあるなか、近くのスキー場2カ所と共同で、リフト券などが割引になるクーポンサイトを立ち上げてつなぎ止めを図ります。

ダイナランドの支配人:
「今まで50年の中では一番高いリフト料金になってしまったのかもしれませんけれども。冬しか楽しめないのがスキー場になりますので、しっかりとサービスを提供していきたいと考えています」