いざ、夢の舞台へ。400年以上の歴史を持つ将棋の名人戦に、20歳の藤井聡太六冠が挑戦しています。

 5歳の頃に祖父から将棋を教わり、描いた夢は「しょうぎのめいじん」。地元の大会で腕を磨き、夢は「名人をこす」。

藤井六冠(2016年):
「名人というのは古くから続く格式あるタイトルですので、それを取りたいという気持ちはあります」

 意識し続けた名人が7つ目のタイトル挑戦に、しかも最年少記録の更新がかかっています。

 頂上決戦の舞台にふさわしいホテル椿山荘東京で、5日に始まった名人戦第1局。3月に「棋王」のタイトルを奪取した藤井聡太六冠が挑む相手は、棋王戦と同じ渡辺明名人です。

 振り駒の結果、先手は渡辺名人になりました。持ち時間は9時間の長丁場となる対局。前回の棋王戦では、全て戦型はAIによる研究が進んでいる「角換わり」となりましたが、今回は研究勝負とならず、両者とも序盤から少し考えながら指し進めていきました。

 4日に会場入りし、前夜祭に参加した渡辺名人と藤井六冠。

【動画で見る】6歳の夢“しょうぎのめいじん”…憧れの『名人戦』へ 藤井六冠「舞台に立ったと当時の自分に教えてあげたい」

渡辺名人:
「いや、ちょっとすごい人でびっくりしているんですけど。これはなんの会合なのかなっていう…」

 新型コロナも落ち着く中、多くのファンが詰めかけた前夜祭。藤井六冠にとっても憧れの舞台です。

藤井六冠:
「名人という言葉には子供のころから憧れの気持ちがあり、今回その名人戦の舞台に立てることをとても楽しみに思っています」

 名人の挑戦権を得るのは、他の棋戦と違いかなり特殊です。順位戦とよばれるリーグ戦を1年かけて勝ち抜き、A級で優勝しないと挑戦権を獲得できません。最速でも5年、藤井六冠も1年足踏みし6年かかりました。

 5歳で祖父から将棋を教わり、6歳の時に描いた夢は「しょうぎのめいじん」でしたが…。

藤井六冠(3月8日):
「それは全く自分では記憶していなかったんですけど。将棋を始めたのが5歳の頃なので、6歳でというのはずいぶん大きく出たなと思いますけど。名人戦の舞台に立つところまで来たというのは、当時の自分に教えてあげたいなと思います」

 着実に幼い頃の夢を叶えている藤井六冠。対局では藤井六冠が1時間半を超えて長考する場面もあり、名人戦にふさわしい、じっくりとした展開となっています。

 対局は2日制で、6日午前9時に再開します。