名古屋市北区の鮮魚店「魚晴」は30年以上、多くの人から愛される名店です。市場で仕入れたばかりの魚を肉厚にカットした「刺身」や、秘伝のタレで香ばしく焼かれた「焼き魚」が人気です。この時季は、夫婦二人三脚で焼き上げるうなぎを求めて大勢の人がやって来ます。

■皮はカリっと身はふっくらジューシー…夫婦二人三脚で焼き上げる「うなぎの蒲焼」

 名古屋市北区のおよそ700世帯が入る水草団地商店街に、鮮魚店「魚晴」はあります。厨房で腕を振るうのは、この道40年の伊藤敏彦さんと妻の晴子さんです。

【画像20枚で見る】肉厚にカットされた新鮮な「刺身」と秘伝のタレ焼かれた「焼き魚」や「うなぎの蒲焼き」

 この時季は、脂ののった肉厚のうなぎを香ばしく焼き上げ、自慢のタレにくぐらせます。皮はカリっと、身はふっくらジューシー…。熟練の技で焼かれた「うなぎの蒲焼」(1尾2500円)です。

女性客:
「カリっとよく焼いている。味もしっかりついていているので、タレをかけなくても…」

別の女性客:
「うちは家族みんなして大好きで…。うなぎはここと決めています」

 夫婦二人三脚で「絶品うなぎ」を焼き上げます。

■お客さんに喜んでもらいたい…仕入れたばかりの魚を肉厚にカットした「刺身」

 午前9時。店の厨房に敏彦さんの姿がありました。午前中は、地元豊浜であがった魚で刺身の準備です。

 お客さんに喜んでもらいたいと、厚めの切り身にカット。いつも、ついサービスしてしまいます。「天然活真鯛」(400円)に…。

「天然本マグロ」(350円)や…。

「やりいか」(350円)などが並びます。どれも伊藤さんが目利きした自慢の品です。

■見た目より意外にあっさり…自慢のタレで香ばしく焼かれた「焼き魚」

 もう一つの看板商品が、妻の晴子さんが1本1本、丁寧に焼く「焼き魚」です。

女性客:
「焼き魚がすごくおいしいです」

男性客:
「なかなか自宅でこういう焼き方できないので、初めて食べたときはびっくり」

「真鯛塩焼き」(400円)に、「かれいの照り焼き」(500円)など、10種類の魚が並びました。

 中でもイチオシは「さば照り焼き」(550円)です。

 肉厚な切り身に、見た目より意外にあっさりとしたタレをつけて焼いていきます。

■生きたまま開いて焼くのが一番…秘伝のタレで香ばしく焼かれたうなぎ

 午後1時過ぎ、いよいようなぎの登場です。

敏彦さん:
「身が柔らかくてふわってとしている。脂がのりすぎてない、程のいい脂がのせてある」

 使うのは、三河産の「新仔(しんこ)うなぎ」。名古屋の有名うなぎ料理店にも納める仲卸業者から仕入れています。養殖期間が1年未満で、身も皮も柔らかく脂ののりも程よいうなぎです。

「生きたうなぎを開いてすぐ焼くのが一番いい」と話す敏彦さんは、慣れた手つきで捌いていきます。

敏彦さん:
「焼くとペチャっとなるものと、フワっと膨らむものとあって、いいうなぎはフワっと膨らみます」

 串を打つと、妻の晴子さんが焼いていきます。「外はカリっと中はフワっという感じで焼いている」と晴子さん。身はふんわりジューシーに…。

 タレは、創業当時から継ぎ足しながら使っています。うなぎの焼ける香ばしい香りが立ち込める頃には、焼き場の温度は40度まで上がりました…。

晴子さん:
「皆さんが『おいしいおいしい』って言ってくださると張り合いになって、自分に返ってきますから。楽しんでやっています」

 午後3時過ぎ。店頭に並んだうなぎの蒲焼は、次々と売れていきます。

女性客:
「香ばしい香りとタレが美味しくて、気に入って買っています」

 お客さんの中には、現在は違う場所に住んでいる女性もいました。この味が忘れられなくて買いに来るそうです。

■うなぎは焼きが一生…一本一本丁寧に焼かれたうなぎの蒲焼

 魚晴は、30年以上前の昭和の終わりに開業しました。店名は、妻の晴子さんの名前から「魚晴」に。当初から刺身と焼き魚を提供するスタイルで、近隣の人たちに支持されてきました。中でも、「うなぎの蒲焼」は特別な存在です。

 敏彦さんがさばいて串を打ち、晴子さんが焼き上げる。「串打ち3年、割き8年、焼きは一生」。上手に焼けるようになるまで一生、修行が続く。うなぎはそれだけ、焼き手によって味が左右される魚だと敏彦さんはいいます。

晴子さん:
「土用の丑も、400本。1本1本『美味しく焼きあがって、美味しく召し上がってもらえるように』って、気持ちこめて焼き上げています」

 厨房には、息子の一平さんが技を受け継ぐべく修行をしていました。

長男の一平さん:
「母と父が作った味を、自分も少しでも近づけていけるようにしていきたい」

「焼きは一生。美味しく焼き上がるよう頑張りたい」と話す敏彦さん。夫婦二人は地域のために、お客さんのために、魚を焼き続けます。

 うなぎの蒲焼が評判の鮮魚店「魚晴」は、名古屋市北区の水草団地商店街にあります。