マラソンで代表を狙うも敗れ、一度はオリンピックへの道が絶たれた岐阜県出身の安藤友香選手は、舞台をトラックへ移し、2021年5月に行われた日本選手権で1万メートルの代表を掴みとりました。

 トラックで掴んだオリンピックの切符。安藤選手は、憧れの夢舞台で金メダルを目指します。

■栄光と挫折…華々しくマラソンデビュー飾るも代表から落選

 小学1年生で陸上を始めた岐阜県海津市出身の安藤選手。「オリンピックで金メダルをとりたい」、中学の時、その夢を大きくさせたのが、シドニーオリンピックの金メダリスト高橋尚子さんとの出会いでした。

【画像16枚で見る】舞台をマラソンからトラックへ 陸上女子1万メートル代表・安藤友香が掴んだオリンピックの切符

 2017年3月に行われた「名古屋ウィメンズマラソン」で、初マラソンの日本最高記録を樹立。安藤選手は一躍、女子マラソン界のニューヒロインに。

安藤選手(2017年):
「東京(五輪)でも、マラソンでメダルを狙っているので。(目指すは)金です」

 2019年9月。東京オリンピックへの出場権をかけ「マラソン・グランド・チャンピオンシップ」に挑みましたが惨敗。最後の1枚の切符をかけて2020年3月に行われた「名古屋ウィメンズマラソン」でも日本人2位となり、夢はかないませんでした。

安藤選手(レース後):
「今の実力はこの結果が全てなので、素直に受け入れて…。でもすごい選手が近くにいるので、また背中を追いかけて頑張りたいと思います」

■オリンピックを諦めない…マラソンからトラックへ舞台移し1万メートルで代表に

 マラソンでの出場が断たれ、オリンピック出場は絶望的と思われましたが、安藤選手は諦めませんでした。

安藤選手:
「チャンスがある限りは、どの種目であっても狙いたいって気持ちがすごくあった」

 強い気持ちが安藤選手を突き動かし、トラック競技の1万メートルで出場を目指すことに。2021年5月に行われた日本選手権では、最後のチャンスを掴むために全力で戦い抜きました。接戦の末、結果は2位。見事、オリンピック参加標準記録を突破し、夢だった代表に内定しました。

安藤選手(レース後):
「たくさんの人に支えてもらって、足並み揃えてこの試合に臨んだので、(オリンピックの)切符とれてちょっと恩返しできたかな」

■過去の自分から脱皮できた…名古屋ウィメンズマラソンで切り替えられた気持ち

 オリンピック直前の2021年7月20日、安藤選手の姿は北海道千歳市に。北海道とはいえ21年ぶりの猛暑日を記録するなど連日、厳しい暑さの中で走りこんでいます。

安藤選手:
「やり切ったって、ゴールした時に『もうこれ以上走れんー』っていう…。あそこでこう出てたらっていうことだけは絶対言いたくない」

 オリンピック絶望から復活を果たすまでに気持ちが切り換えられた瞬間は、去年の名古屋ウィメンズマラソンでした。

安藤選手:
「すごくすっきりしたというか、過去の自分を脱皮できたなっていう。成長できたかなってすごく感じられた」

 トラック競技への挑戦がさらなる成長に繋がっていきました。ワコールに移籍してから、トラックの練習にも力を入れてきた安藤選手。

安藤選手:
「積み重ねというか強化があって、今トラックでもしっかり走れるようになってきた、結構そこで感じましたね」

■お世話になった人たちに感謝を伝えたい…憧れの夢舞台で狙う金メダル

 安藤選手が大切にしているのは、周りの人への感謝の気持ち。

安藤選手:
「一番自分らしく走れるように。自分が後悔なく終えることを一番大事にしたいと思っています」

 初めてのオリンピックへ。安藤選手は憧れの舞台で金メダルを狙います。1万メートルは8月7日(土)に行われます。