夏の風物詩同士の“掛け算”…水まんじゅう×かき氷で『水まん氷』水の都で世代超え愛される逸品の誕生秘話
良質で豊富な地下水に恵まれ、古くから「水の都」と呼ばれてきた岐阜県大垣市に、人気のかき氷があります。ふわふわの氷の中に、モッチリとした生地にすっきりと甘い水まんじゅうが入ったかき氷は、世代を超えて愛されています。
■モッチリとした食感とこしあんの優しい甘さが特徴…大垣の夏の風物詩「水まんじゅう」
JR大垣駅から徒歩10分の駅前商店街にある、江戸時代創業の老舗の和菓子店「餅惣(もちそう)」。
【画像20枚で見る】水の都で世代超え愛される夏の風物詩同士の“掛け算”…水まんじゅう×かき氷で『水まん氷』
店内には、「にっき餅」(120円)や「草餅」(120円)、岐阜県産のもち米を使った「おはぎ」(120円)に…。
サツマイモをたっぷり使った鬼まんじゅう「おいもごろごろ」(150円)などが並びます。
中でも看板商品は、「水まんじゅう」(3個で420円)です。
大垣の夏の風物詩「水まんじゅう」は、2種類のくずと本わらび粉を混ぜて加熱しながら練り上げます。
器として使うおちょこに、こしあんで作ったあんこ玉と生地を流し入れていきます。
蒸し器で15分蒸し上げると、地下水が流れる水槽の中へ。水温が1年通しておよそ14度という地下水で冷やします。
半透明の生地はつるんとした食感で、こしあんの優しい甘さが特徴のまんじゅうです。
■大垣の雰囲気と一緒に味わってほしい…3つの水まんじゅうが入った「水まん氷」
この水まんじゅうを使った夏の人気メニューが、「水まん氷」(650円)です。
女性客:
「暑いので涼しくなれるかなと思って」
男性客:
「氷も甘いですし、水まんじゅうとマッチして。こしあんなのでツルっと入ります」
別の女性客:
「二つの味が一気に食べられてうれしい」
このかき氷を考案した6代目の鳥居清さんは、「大垣の雰囲気と一緒に味わってもらいたい」と、かき氷に大垣名物の水まんじゅうを入れました。
氷は、不純物を取り除いたキメ細かい純度の高い「純氷」を問屋から仕入れて使っています。
注文が入ると、升の器に敷いた氷の上に水まんじゅうを3つ乗せてさらに氷を被せ、最後に自家製の白蜜のシロップをかければ完成。
ふわふわの氷の中に隠れている、一層ひんやりした水まんじゅうは、生地がモッチリしていてさわやかな甘さです。
暑くなると、このかき氷目当てに大勢のお客さんがやってきます。密を避けるために、店の前の歩道に設置されたテーブル席。かき氷は、市と商店街が去年に始めたこの「まちなかテラス」で食べることができます。
家族連れの父親:
「小さい時にここで食べたことがあって…。すごくおいしかったので、子供を連れてきました」
水まんじゅうのかき氷は、世代を超えて愛されています。
■きっかけは持ち帰りの水まんじゅうに一緒に入れた氷…地元の魅力詰まった「水まん氷」誕生秘話
夏の看板メニューの「水まん氷」が、26年前に誕生したのにはあるきっかけがありました。
6代目鳥居清さん:
「持ち帰り用にパックの水まんじゅうに氷を削って、家に帰ってすぐに冷たく食べられるようにしたのが評判になった」
およそ100年前に誕生した「水まんじゅう」。冷蔵庫のなかった時代は、湧き水で冷やした夏の風物詩として親しまれてきました。
そして、家庭でも冷たいままおいしく食べてもらいたいと、削った氷を入れたことが「かき氷」のアイデアに繋がりました。さらに…。
6代目鳥居清さん:
「枡を利用して大垣らしさが出ないかなと。食べやすいように特注で8角形の枡を作ってもらいました」
大垣は升の生産量が日本一で、8割のシェアを誇ります。自家製の白蜜シロップも、大垣の湧き水とザラメで作りました。素材から器まで、地元の魅力がギュッと詰まった逸品です。
女性客:
「和スイーツ、見た目でも楽しめてすごくいいと思います」
男性客:
「夏にかき氷と水まんじゅうが同時に食べられて、甘さもちょうどよくおいしかった」
「大垣発祥の水まんじゅうを、大垣の雰囲気と一緒に味わってもらいたい」。鳥居さんは、かき氷を通して、他の地域の人はもちろん、地元の人にも改めて地域の良さを知ってもらいたいと願っています。