愛知県蟹江町の男性から投稿がありました。「自宅がある蟹江町の県道西尾張中央道から夜間に聞こえる、改造した車などの激しい騒音が長年の悩みの種です。その一部は名古屋港飛島ふ頭などで、夜な夜な暴走を繰り返す「ドリフト族」とみられ、現場に至る道の周辺住民を代表して、何とかならないかお願いしたいです」

 近隣の住民の頭を悩ませている、名古屋港飛島ふ頭周辺に集まる「ドリフト族」。取材してみると“根絶”できないのには、警察とドリフト族の続くいたちごっこと、港湾エリア特有のある事情があることが分かりました。


■交差点に広がるタイヤ痕…「ドリフト族」が集まる名古屋港飛島ふ頭周辺

 夜な夜な暴走行為を繰り返す「ドリフト族」の実態を調べるために週末の夜、現場の飛島ふ頭へ向かいました。

【画像20枚で見る】タイヤが路面に擦れ周辺に広がる大量の煙…後輪を滑らせターンする『ドリフト族』

 名古屋港飛島ふ頭エリアは、コンテナが並ぶ工業地帯。到着した時は、人も車の姿もなく、ひっそりと静まり返っていました。

しかし、道路にはタイヤの痕が…。歩道スレスレまで交差点全体に痕が付いていました。

 タイヤ痕を確認していると…。不審な車がエンジン音を響かせ、目の前を走り去っていきました。


■ターンする度にタイヤが路面に擦れ周辺に広がる煙…後輪滑らせターンする「ドリフト」

 午前1時過ぎ、車が集まりはじめました。猛スピードで交差点に突入し、後輪を滑らせターンする「ドリフト」の開始です。

 2台揃って曲芸のような走行も。ターンのたびにタイヤが路面に擦れ、大量の煙が辺りに広がります。それでも目の前で見ようと、沿道には見物人が集まっていました。ガードレール近くまで車体が近づき、危ないと思える場面も…。

 それでも、平然と車道にまで出てくる男性や、深夜にも関わらず子供を連れた家族の姿もありました。静かな週末の夜になるはずの工業地帯は、ドリフト族のたまり場となっていました。

 そして、午前3時を回った頃、現場に異変が…。

男:
「パトカー来た!パトカー来た!」

 クラクションを鳴らしながら、一斉に走り去るドリフト族。現れたのは警察車両でした。警察がやってくると互いに合図し、一斉に走り去っていきました。


■警察来ることでスリル増す…サーキットでなく飛島ふ頭周辺でドリフトする理由

 土日の深夜に行われているというドリフト。一体なぜ集まるのか…。過去にこの場所でドリフトをした経験があるという見物人に話を聞きました。

ドリフトをしたことがある男性:
「やっぱ(ドリフトが)好きだから。サーキット高いから1時間で6千円とか5千円とかかかる。だからここにくれば、悪さだけど無料で走れる」

同・男性:
「楽しいっすよ。サーキットだと警察来ないじゃないですか、そういうスリルもあったり。高揚感というか。(警察が来たら)みんなバラけて…。だいたい集団行動なんで」

「高揚感」が味わえ、警察が来ることで「スリル」が増すと話します。


■道路びょうやポストコーン設置しドリフトしにくい道路に改良も…続くいたちごっこ

 これまでも、周辺ではたびたび問題になってきたドリフト族。これでも今は、昔に比べると暴走車両の数は減ったといいます。

 2012年頃は、週末には80台以上もの改造車が集まり、多くの見物人たちがコンビニの駐車場にたむろする姿が…。その後、警察は取り締まりを強化しました。

取り締まり中の警察官:
「走らせないような道路環境を作るということで、ブロックを車線に応じて(設置する)」

 交差点に道路びょうやポストコーンを設置し、ドリフト走行がしにくいよう道路を改良。

さらに、たまり場となっていた周辺のコンビニにも協力を依頼し、週末の夜間営業を自粛してもらうなどの対策をとることで、次第にドリフト族の数は減ってきたといいます。しかし…。

警察官:
「私たちの動きを観察してるんですよ。いないとなればLINEか何かで(仲間を)呼ぶんでしょうね。神出鬼没にあちらこちらでやる…」

 最近は、手口が巧妙化し偵察隊が周りを走行し、警察車両を発見するとSNSで仲間と情報を共有しているのか、いたちごっこが続いています。


■全て実施できない規制や障害物の設置などのドリフト対策…港湾エリア特有の事情

 さらに、ドリフト族を根絶できない理由に、港湾エリア特有のある事情もありました。

愛知県警蟹江署の交通課長:
「名古屋港管理組合が物理的にそこを入れないようにしてもらうとか、走れない場所にしてもらうのが一番ですけども、ただ現状はなかなか…」

 ドリフトが行われている飛島ふ頭周辺は、名古屋港管理組合の所有する土地。規制や障害物の設置などは組合の了承が必要であり、警察単体での取り締まりには限界があるといいます。名古屋港管理組合は…。

名古屋港管理組合の副所長:
「ドリフト車両の対策によって、円滑な荷役が損なわれるというのは、我々としては本末転倒になってしまう…」

同・所長:
「(ドリフト対策)を全部やると、港湾の車両に支障が出ますので、後追い対策になっているのが現状」

 名古屋港管理組合も、ドリフト族を根絶したい思いはあるものの様々な事情があり、警察と連携しながら取り締まりをしていくしかないといいます。

 大事故にも繋がりかねない暴走行為を繰り返すドリフト族。近隣の住民のためにも、根絶を目指す更なる取り組みが求められます。