愛知県常滑市の中部国際空港のスカイデッキは、日本の空港で最も滑走路に近いとあり様々な人たちが集まります。8月、お盆期間中のスカイデッキには、再会や別れ、様々な人間ドラマがありました。

■交差する十人十色の人間模様…最も滑走路に近い空港“セントレア”のスカイデッキ

 滑走路に向かって伸びるセントレアのスカイデッキ。そこには、旅立つ人や見送る人の姿がありました。

【画像20枚で見る】旅立つ人に見送る人…コロナ下の空港展望デッキの1日 飛び交う飛行機と交差する人間模様

北海道出身の男性:
「地元の友達の結婚式があるので。北海道に戻るのは1年半ぶりくらいですね、コロナだったので…」

フィリピン人の女性:
「寂しいですね。もう長い時間会えなくなるから」

 午前10時。スカイデッキの先端で、スマートフォンを気にする一人の女性が…。

歯科衛生士の女性(39):
「今から仙台に行こうと、牛タンを食べに。彼との初旅行なんです。今まで我慢して、やっと行けるので…」

 念願だった彼との初旅行…。しかし、ギリギリまで仕事だった彼は、今大急ぎで空港に向かっているといいます。

同・女性:
「もしかしたら飛べないかもしれない…。(飛行機に)一人で乗って、彼は新幹線で…」

 彼はなんとか間に合いました。

■3000キロの遠距離恋愛がはじまる…フィリピンへ帰国する彼を涙で見送る女性

 フィリピンからの技能実習生の男性は、3年ぶりに帰国します。

フィリピン人の男性:
「仕事本当に終わりましたから、家族も会いたいから大丈夫」

 故郷にいる家族との再会に心躍らせる近くで、一人の女性が涙を拭います。2年半交際している彼が、これからフィリピンに帰国します。

フィリピン人の女性:
「(彼は)ビザきれましたので。寂しいですね、長い時間会えなくなるから…。(彼は)優しいです。日本にいる私のおばさんと、いとことも知り合いましたので、仲が良くなりました」

 およそ3000キロもの遠距離恋愛が始まります。

■スカイデッキは最適な散歩コース…同級生の2人は65年来の付き合い

 午後、スカイデッキは、多くのカメラマンで賑わいます。滑走路までわずか300メートルのため、機体が浮き上がる瞬間まで間近で体感できます。

ベンチには、くつろぐご年配の2人がありました。

81歳の男性:
「同級生であり、俺の奥さんの兄貴。気が合うか合わんか知らないけど、これだけ続いているのは少ない」

 高校の同級生で65年来の付き合い。散歩のためにやってきました。

同・男性:
「あんまり歩いてないもんで…。人生足から衰えるから、転んじゃあかんよって。こけたらダメ、ここ(頭)がダメになればね、人間ダメになるでね」

 景色もよく2人には最適な散歩コース。「こけたらダメ」ですよ~。

■めちゃくちゃ好きマイラブ…22歳年上の日本人女性と結婚したパキスタン人の男性

 仲睦まじげにベンチに座る二人は、山口めぐみさん(47)とパキスタン出身のラル・バチャさん(25)です。

山口さん:
「この人のお母さんが50何歳で、私とあまりかわらない」

 2人は2019年に結婚し、2020年11月から愛知で一緒に暮らしています。22歳差の2人の出会いは、フェイスブックでした。

山口さん:
「最近多いんですよね、フェイスブックで外国人の方と知り合って、詐欺にあう方もみえるし…。パキスタンの人と恋愛している人は、不安になる人いますね、一夫多妻制が気になるでしょうね」

ラル・バチャさん:
「(山口さんのこと)いっぱい好き、めちゃくちゃ好き。マイラブ…」

 ラル・バチャさんは、めぐみさん一筋です。

ラル・バチャさん:
「あまり日本語分からない。給料安いし、部屋やタックス、全部払うできない。一人で頑張りましょう、ではなく奥さんは…(休んでください)」

 奥様想いのラル・バチャさんですが、なぜスカイデッキに…。

山口さん:
「日本ってストレス社会じゃないですか。大変だと思うんですよ、彼にとっては…。気分転換ですかね…。気分はすっきりした?すっきりわからない?ハッピーになった?」

ラル・バチャさん:
「うんハッピー、エンジョイした、ハッピーOK」

 スカイデッキでは、十人十色の人間模様が交差します。

■去年は一人で帰ったので…生まれた息子を1年越しで親にお披露目できた女性

 飛行機を見つめる一人の女性がいました。

事務職の女性(26):
「飛行機を見に来て、行った気分になっているだけです。あの飛行機どこに行くのかなって考えたりするといいなって」

 ロサンゼルスに行く計画を立てていましたが、コロナで白紙に…。飛行機を見て、旅行気分だけでも…。

 到着ロビーにあったのは、年配夫婦の姿。妻の実家がある沖縄へ初めて挨拶に行った、息子夫婦の出迎えです。

母親(60):
「おじさんおばさんに会って?」

息子(35):
「みんな喜んどったよ」

 1年越しで、妻の家族に孫のお披露目もできました。

息子:
「1年間会えなかったので、今回初めて会えて、家族っていいなって思えましたね」

妻(40):
「去年は一人で帰ったので…。今年結婚して旦那さんも連れて子供もできて、みんなにお披露目できてよかったなと思います」

■飛び立つ飛行機見て自分の悩みなんて小さいものだねって…部下の仕事の悩みを聞く経営者

 午後7時。日が暮れたスカイデッキには談笑する2人が…。ロードサービスの会社を経営している社長とその部下だといいます。

部下の女性(20):
「会社のことで相談にのってくださるってことで」

社長(53):
「彼女は1番のオペレーターなんだけども、仕事のことで悩みがあるといっていたので、飛行機でも見てスカッとせんかなと思って」

 職場の人間関係の悩み相談…。なぜスカイデッキに?

社長:
「大きい空に向かって飛行機が飛ぶのは、自分の悩みなんて小さいものだねって…。天にむかっていく、それを彼女にも知ってほしかった」

女性:
「コロナの中で、皆がんばっているんだなってこういうの(空港)を見ながら思います。連れてきてもらっているお気持ちも含めて、すごく晴れてはいます」

 大空の下、心機一転…、飛び立つ飛行機のように…。中部空港のスカイデッキには、様々な人間ドラマがありました。