愛知県安城市の小学校に勤める教師の男が、中学3年生の少女にみだらな行為をしたとして逮捕されました。男はマッチングアプリを通して少女と知り合ったとみられています。こうしたアプリの危険性について、専門家に話を聞きました。

 警察によりますと、逮捕されたのは愛知県安城市の小学校教師で、今年4月に採用されたばかりの稲葉健太郎容疑者(23)です。

 今年7月と8月に瀬戸市のホテルで、18歳未満と知りながら、中学3年生の当時14歳の少女とみだらな行為をした疑いが持たれています。その後、警察署に自首していますが、稲葉容疑者は「当初は相手は18歳だと思った」と容疑を否認しています。

 稲葉容疑者は「ひまトーク+(プラス)」というマッチングアプリを通して、少女と知り合ったとみられています。

 ここ数年、こうしたマッチングアプリで未成年者がトラブルに巻き込まれるケースが後を絶ちません。成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子さんに話を伺いました。

 高橋教授は、今回の事件のきっかけとなった「ひまトーク+」などを“ひまつぶしトーク系アプリ”と呼んでいて、次のような特徴があるといいます。

・不特定多数の中から1対1でチャットができる
・メールアドレスや電話番号登録など一切不要で簡単に登録ができ、すぐに利用できる
・名前は匿名で、メッセージと写真が送り放題
・年齢・性別・地域で相手を検索する機能があり、気が合う人を見つけられる

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 とにかく手軽にできて、暇なときにチャットをしたいという人が利用するもので、十数年前から類似アプリがいくつも登場しています。

 しかし、こうしたアプリにはリスクも潜んでいます。匿名で利用できることをはじめ、性別や年齢など幾らでも嘘がつけてしまうので、仮に問題が起きた時に個人が特定しづらくなります。

 こうしたアプリの多くは、18歳未満は使えないなど年齢制限をしていますが、身分証明などが不要で自己申告制のため、中高生などでも使えてしまいます。実際、今回の「ひまとーく+」を利用していた被害者は中学3年生でした。

 こうした事件を防ぐため、運営側も嫌な相手をブロックできる機能や不審なアカウントの削除などの対策をしていますが、こうしたアプリで過去にも犯罪が起きています。

 2019年に「ひま部」というアプリで、静岡県の26歳の男が年齢や身分を偽って小学6年生の女子児童と直接会い、みだらな行為をした疑いで逮捕されました。

 2017年には「斉藤さん」というアプリで出会った当時9歳の女の子に、十数回にわたって裸の動画や画像を送らせたとして、愛知県の当時22歳の男が逮捕されました。女の子は「しつこく言われて怖くなり断れなかった」と話していました。

 警察庁によりますと、こうしたSNSに起因する被害児童の件数は、去年が1819人と年々増加傾向にあり、1日あたり5人が被害に遭っている計算です。

 こうした事件から子供たちを守るためには、高橋教授は「まず大前提として『知らない人に会わない』ことをしっかり伝えてほしい」といいます。こうしたアプリで出会った場合、最初は優しい言葉で信頼させ、後に性的行為を求めるケースもあるということです。

 高橋教授は「大人が未成年者を呼び出すなんて、たいていはロクな大人ではない」と憤っています。

 また、顔写真・名前・学校名などの個人情報を絶対に明かさないこと。文字はもちろんのこと、写真にも気付かないうちにそうした情報が紛れ込むことがあります。

 そして、同世代が被害に遭っていることを伝えて親子で話し合い、事件に遭わないための知識や判断力を高めてほしいと話しています。

 他には「携帯電話会社が提供している、子供に有害と思われるアプリやサイトへのアクセスを制限する『フィルタリング』を行うこと」「親が子供のスマートフォンを定期的にチェックしたり、不安な時はすぐに相談できる関係を築くこと」などが挙げられます。