令和初の衆議院選挙が19日、公示されました。争点は新型コロナ対策やアフターコロナを見据えた経済政策。候補者たちは第一声で何を訴えたのか、分析しました。

 東海3県の24選挙区に立候補したのは全部で67人。このうち15の選挙区では立憲や共産など野党5党が候補者を1本化していて、どこまで自公政権の批判票の受け皿となれるかが注目されます。

 与野党三つ巴の争いとなったのが、愛知県の瀬戸市から大府市まで、南北に細長い「愛知7区」。

 4年前は野党系の山尾志桜里さんが激戦を制しましたが、その山尾さんが政界を去り、今回立候補したのは、共産党の新人・須山初美さん(42)、立憲民主党の元職・森本和義さん(55)、自民党の前職・鈴木淳司さん(63)です。

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 名鉄・尾張瀬戸駅前に集まった支援者たち。

 共産党・須山さんの街頭演説は全部で10分半。まず切り出したのは、自民・公明の政権運営からの転換、新しい政権を作ることが必要と訴えました。

須山初美氏(共産・新):
「政権を交代する、私たちの声が届く新しい政治を作っていく総選挙に、私たちはいよいよ挑んでいきます」

 その上で、最も時間を割いたのが「ジェンダーの平等」です。

須山氏:
「どうしても実現したいことがあります。それは、男女の賃金格差を解消することです。同じキャリアであっても給料が違う。公的に支える仕組みを作って、全ての人をジェンダーの呪縛から解き放っていきたいんです」

 そのほか、コロナ対策についても訴えました。

須山氏:
「特に衆議院の女性の比率が非常に低いものですから、私自身が女性の願いを全て託してもらうという思いで駆け抜けたいと思います」

 トレードマークのラグビーのユニフォーム姿で訴えたのは立憲民主党の森本さん。

森本和義氏(立憲・元):
「ここ10年間、ずっと自公政権できました。確かに株価は上がったけれども、経済格差はどんどん増えています。政治が間違っているんです」

 2009年に当時の民主党から立候補し、衆議院議員に初当選。政権与党を経験したこともあります。

森本氏:
「一部の人が富んで、お金持ちになってそのお金が国民全体に回ってくるという考え方は、今や通用しない。本当にお金が必要な、苦しんでいる人たちにしっかり分配していくことが、私は大事だと思っているんです」

 8分半の街頭演説で最も強く訴えたのが「経済格差の是正」です。自公政権での経済政策「アベノミクス」では、株価は上がったものの格差は広がったと批判。「分配なくして成長なし」。介護・教育など公的サービスの予算を増やして、貧困を減らす政策が必要と訴えました。

森本氏:
「前回も与党議員に勝っている議席ですから、まだ正直言って、後ろを走っていると思いますけども、最終日に最後の最後に、一票でも追い抜いて勝利を勝ち取りたいと思っております」

 コロナ対策で瀬戸市の河川敷からスタートし、6期目を目指す自民党の鈴木さん。

 コロナ終息に向けて対策を講じていくとした上で、アフターコロナを見据えた経済政策をしっかりと実行すると訴えました。

鈴木淳司氏(自民・前):
「片方でコロナ対策、片方で経済活性。両立が絶対に必要でありますが、みんなが前を向いて歩いていける社会を作っていく。これはまず、我々の責務だと思います」

 一方、地元の自動車産業を意識した発言も…。

鈴木氏:
「課題の一つは、カーボンニュートラル、脱炭素であります。この地域は何といっても、世界に冠たる内燃機関技術、いわゆるエンジンの技術を持った会社もあり、地域であります。その様々な手段をもって、トータルでカーボンフリーに取り組んでいく」

 全トヨタ労連が最重要課題として取り組む「カーボンニュートラル」にも触れ、労働組合の組織票にも支持を広げたいと秋波を送りました。

鈴木氏:
「政策は、まずはとにかくコロナ禍に対する対応でしょうね。世界で極めて厳しい経済競争が始まるんですね。その中で日本がしっかり勝ち残っていけるような、生き残っていけるような、日本にしないといけませんから、そういった議論をしっかりしたいと思っています」

 より多くの有権者の支持を集めるのは、どの候補の訴えか。投票は10月31日で即日開票されます。