愛知県碧南市に、最大3年待ちとなった人気のフライパンがあります。この商品を作ったメーカーは、2021年9月に新商品として、鍋型の万能調理器具を発売しました。焼く、揚げるはもちろん、フライパンと合わせればダッチオーブンのような調理器具にもなり、キャンプに使えると話題になっています。

■最大3年待ちの大ヒット…お肉がムラなくジューシーに焼けるフライパン

 愛知県碧南市に、溶かした鉄を型に流し込み、水道管や重機などの部品を作る鋳造メーカー「石川鋳造(ちゅうぞう)」があります。

【画像20枚で見る】“最大3年待ちフライパン”の蓋にもなる…鋳造メーカーの新作は万能調理器具『マルチパン』

この会社は、最大3年待ちとなった調理器具「おもいのフライパン」(11000円 20cmサイズ)のヒットで一役有名となりました。

 累計5万枚売れたというこのフライパンの最大の特徴は、鋳物のため熱伝導が良く、まんべんなく手早くフライパンに熱が通ることです。

また、鉄板が厚いため料理中にフライパンの温度が下がりにくく、肉に焼きムラがなく外はカリっと中はジューシーに焼くことができます。

代表の石川鋼逸さん:
「お肉がおいしく焼けるフライパンがなかったんです。じゃあ開発して世の中に出したいなと」

 フライパンは約1200グラムと少し“重め”。そして、お肉をおいしく焼きたいという社長の熱い思いから“おもいのフライパン”と名付けられました。現在は生産効率も上がり、注文から1か月ほどで届くといいます。

■無水料理や蒸し料理も…新商品は様々な料理が作れる万能調理器具

 石川鋳造は、新たに画期的な調理器具「おもいのマルチパン」(13200円)を開発。

石川さん:
「一見鍋みたいですが、“おもいのフライパン”の性能は維持しながら、鍋としての機能もある」

 フライパンに続く新たな看板商品として2021年9月に発売した“おもいのマルチパン”は、その名の通り様々な料理が作れる調理器具。フライパンと同様ステーキを美味しく焼いたり、油で串揚げを作ることもできます。

 そして最大の特徴が、“おもいのマルチパン”の上に“おもいのフライパン”をぴったり重ねられること。重ねることで、キャンプにも役立つ“ダッチオーブン”のような調理器具にもなります。

石川さん:
「フライパンがフタ代わりになり、無水料理だとか蒸し料理ができる。1台で2役、3役になる画期的な調理器具」

■キャンプグッズとしても話題に…焼くだけでなく“蒸し料理”もできる“マルチパン”

 “おもいのマルチパン”を使って、豚肉とたっぷりの野菜を使った「ホットロースト」を作ってみました。まずは、豚バラ肉を表面がきつね色になるまで焼きます。

 続いて、炒めた野菜の上に豚バラをのせて、ローズマリーとお酒を入れ、“おもいのフライパン”でフタをして30分加熱するだけです。

フライパンとマルチパンがぴったりと合わさっているため、吹きこぼれもありません。キャンプ飯にもおすすめの蒸し料理「豚バラ肉のホットロースト」の完成。

 焼いたり揚げたりだけでなく“蒸し料理”もできる、まさに“マルチパン”。

ご飯を炊くこともでき、その様々な調理ができる便利さが人気となり、キャンプグッズとしても注目を浴びているといいます。

■きっかけは客からの「フタが欲しい」との要望…フタも調理器具にという発想から誕生

 マルチパン誕生のきっかけは、「おもいのフライパンのフタを作ってほしい」という客からの要望でした。しかし。

石川さん:
「フタを作る中で、全てメイドインジャパンの部品を使うとなかなか作れないし、部品の調達も厳しいことがわかりまして…」

 おもいのフライパンは、すべて日本製で「メイドインジャパン」の品質の高さをウリにしていました。そのため、フタも日本製にしようとしましたが、部品の調達やコスト面で実現できませんでした。そこで…。

石川さん:
「鍋として、調理器具として活用できるフタがあれば、画期的な調理器具になるのではと思って…」

 一般的なガラスのフタなどではなく、「そもそもフタも調理器具にすればいい」という大胆な発想から、何度も試行錯誤。そして構想から3年、調理器具にもフタにもなる「おもいのマルチパン」(13200円)が誕生しました。

 もちろん、鍋の上にフタとしてフライパンを重ねる逆パターンもOKです。マルチパンを深めにすることで、調理パターンも広がりました。

石川さん:
「世にないもの、そしてこだわりのメイドインジャパンの製品を使って、食の楽しみや喜びをわかっていただけたらありがたい」

 料理を更に楽しく…。一台三役の画期的な調理器具は料理の幅を広げてくれます。