三重県御浜町で、秋から冬にかけて現れるという『風伝おろし』。朝晩の寒暖差が大きい日の寒い朝に発生する“霧が山肌を吹き下りる自然現象”です。現れる確率が高いという雨が振った翌朝に行ってみました。

■朝霧が山肌に沿い降りる幻想的な風景…気象条件がそろわないと見られない「風伝おろし」

 三重県御浜町で寒い朝に現れる『風伝(ふうでん)おろし』は、雨で盆地にたまった水蒸気が、晴れた翌日の朝に放射冷却によって冷やされ霧となり、山肌を流れ落ちる幻想的な自然現象です。

【画像15枚で見る】霧が山肌流れ落ちる自然現象『風伝おろし』と冬の訪れを告げる『雲海』

 しかし、気象条件が揃わないと中々見る事はできません。雨が降り続いていると放射冷却が進まず霧は発生せず、晴れても気温が下がらないと発生しないといいます。

■山肌に沿いゆっくり流れ落ちる…霧の量こそ少ないが現れた「風伝おろし」

 名古屋を出発してから3時間。日の出前に、風伝おろしが見られることからその名がついたともいわれる三重県御浜町の「尾呂志(おろし)地区」に到着。

 空は少し明るくなり始めていますが、少し風もあり、思ったほど冷えていませんでしたが6時10分、日の出の時刻になり、歩きながら開けた場所に出ると目の前に「風伝おろし」が現れました。

霧の量こそ少なめですが、それでも山肌に沿ってゆっくりと流れ落ちているのがわかります。興奮冷めやらぬ中歩いていると、カメラで撮影する男性の姿が…。男性は、今日はチャンスとばかりにやって来たといいます。

撮影に来た男性:
「昨日雨降って、今日気温が下がればと思ったんですが…。ちょっと気温が高いみたいですね。今年はまだ3回目の挑戦なので」

 この日は今年に入って3回目の挑戦。去年は6~7回ほど撮影に来たといいます。

■昼夜の寒暖差が大きい日に現れる…朝日に照らされたパノラマ雲海

 ここで新たな情報が…。

男性:
「これの向こうに『雲海』が見えると思うんです。『ツエノ峰』という山の中腹から雲海の絶景ポイントがある」

 この時期しか見られない光景…。早速、険しい山道を登り、隣の熊野市の教えてもらったポイントを目指します。

「ツエノ峰」に到着。ビューポイントまで行くと、こちらも見えました、朝日に照らされまぶしいくらいの見事な雲海。昼夜の寒暖差が大きく、晴れたこの日に現れてくれました。この雲海が強い風で山を越え、御浜町へと下りていくといいます。

「冬の訪れを感じる風景」を求め三重県御浜町に行くと、寒い冬の朝に現れる「風伝おろし」だけでなく「雲海」まで見ることができました。