コロナでおうちご飯が増え、手軽に簡単に作れる料理のニーズが高まっています。多くの食通が認める名古屋の和食の鉄人に、秋の食材を使って「サバとキノコの和定食」を作ってもらいました。サバ缶でダシをとるなどプロの時短テクニック満載です。

■サバ缶でダシをとる…秋の食材使った「サバとキノコの和定食」

 名古屋市東区にある「ふじ原」は、ミシュランガイドに並ぶ国際的なグルメ雑誌にも掲載されるほど評価の高い和食の名店で、料理長の藤原光章さんは、多くの食通が認める和の鉄人です。

【画像20枚で見る】和の鉄人直伝 秋の食材で『サバとキノコの和定食』“サバ缶”使うプロの時短テク

 今回は藤原料理長に、家庭でも簡単に作れる「サバとキノコの和定食」を教えてもらいました。秋にお勧めの食材として料理長が選んだのは、「まいたけ」「しいたけ」「えのき」の3種類のキノコ。旬のキノコ類に大根、豚肉、そしてサバ缶を使います。

藤原料理長:
「サバ缶でダシをとる。サバ缶は万能調味料といっていい。簡単なダシの取り方でワンランク上の和定食を」

 これだけの食材で4品を作ります。

■サバ缶で味わい深さとコクが格段にアップ…秋の「キノコの豚汁」

 一品目は「キノコの豚汁」。下準備で具材となる「しいたけ」は薄切りに。身が柔らかい「まいたけ」は手で割いていきます。「えのき」は半分だけざく切りに…。続いて大根の皮むきですが、ポイントがあります。

藤原料理長:
「大根の身と皮の間にガクっていうのがある。そこを厚くむいてください。これも料理しますから捨てないで」

 大根の皮は厚めにむいて、後ほど別の料理に使います。大根の身をいちょう切りにしたら野菜の下準備は完了です。ここで、サバ缶を使います。

藤原料理長:
「サバ缶がダシになるんです、豚汁に入れる。深い味にするには、このひと手間をかけることで豚汁のうまさが倍に」

 サバ缶でダシをとり、豚汁のうまさを倍に。600ミリリットルの水に、サバの身を半分とサバ缶の汁を入れて約10分炊くことで味に深みが増すといいます。

 色が出てきたら、かつお節を投入。いい香りが漂ってきます。続いて、ザルでこしてサバの身と分けたら野菜を鍋に入れて炊きますが、ここでもポイントがあります。

藤原料理長:
「キノコから水分が出てくる。たくさんの水やダシを使ってしまうとキノコの(うまみが)出てしまうので、なるべく少ないダシでキノコを炊いた方が、うま味成分が残っています」

 炊いていると、キノコの水分で水笠が増してきました。そこに、合わせ味噌25グラムを溶いていきます。

藤原料理長:
「(醤油で)大豆のうま味を足してあげる。お味噌だけで味を調えようとするのでなくて、お醤油と酒を少し入れて深さとコクが出ます」

 仕上げに、少量の濃口醤油とお酒を加えるのが一流シェフの技。味わい深さとコクが格段に増すといいます。これで、一品目の「キノコの豚汁」の完成です。

■味付けに使うのは“麺つゆ”…残りのサバ缶で作った大和煮の「まぜごはん」

 2品目の「まぜごはん」は、作る順番にもポイントがあります。先ほどダシをとったサバとカツオ節に残りのサバの身を合わせて、細かくつぶして炒めていきます。そこに水50ミリリットル、お酒25ミリリットルを加え、最後に味付けで使うのが、主婦の味方“麺つゆ”です。

藤原料理長:
「サバ缶の大和煮。(本来は)醤油と酒とで炊くが、今回は麺つゆ」

 サバ缶に水、お酒、麺つゆを入れて炒めるだけの簡単大和煮。このままご飯の上に乗せても美味しそうです。鍋だと焦げ付くため、テフロンのフライパンを使うのがオススメです。水分が無くなるまで炒め、刻んだ生姜、ゴマと一緒にご飯に混ぜたら完成です。

■電子レンジで2分加熱するだけ…シェフの手抜き技が光る「えのきのつくだ煮」

 3品目は、シェフの手抜き技が光る「えのきのつくだ煮」。えのきを入れた器に、水と麺つゆを合わせて電子レンジ(600W)で2分加熱するだけです。あっという間に「えのきのつくだ煮」の完成、冷蔵で1週間ほど保存がきくそうです。

 最後は、とっておいた大根の皮を使って「大根の漬物」を作ってもらいます。酢、醤油、みりんを入れ冷蔵で40分ほど漬けるだけ。

 最後にお皿に盛り付ければ、秋の食材“キノコ”と“サバ缶”を使った「サバとキノコの和定食」の完成です。

 サバ缶のダシとキノコのうま味が詰まった豚汁に、ご飯との相性抜群の大和煮。材料を余すことなく使った極上の秋の和定食です。