
愛知県豊橋市に、2021年4月にオープンしたママたちが運営するカフェがあります。自身も3人の育児をしながら店を切り盛りする37歳の店長は、“ママたちが無理せず働ける場所を”と、店を「子連れ出勤大歓迎」としました。ママたちの手作りのおかずとおにぎりのランチが好評のこのカフェは、子連れのお客さんを中心に人気を集めています。
■子連れのママたちが集まる…家庭的な手作りランチが人気のカフェ

愛知県豊橋市の複合施設「ライフポートとよはし」内にある「104(とよ)カフェ」。店長は、ご主人と3人のお子さんを持つ現役のママ・大塚美喜さん(37)です。
【画像20枚で見る】カフェのスタッフは全員『現役ママ』日替わりのおかずとおにぎりが人気のプレートランチ

常連客:
「子連れで来てもいい場所だから、気軽に安心して過ごせる」
他の常連客:
「長女も小学生なんですけど、お友達がいるからここに行きたいって」
このカフェの看板メニューは、見た目が可愛らしい手作りランチです。

大塚さん:
「家庭的なものしか作れないけど、少しでも可愛く、ちょっとでもおしゃれになったらいいな」
子連れのお客さんを中心に人気を集めています。
■日替わりのおかずとおにぎりが家庭的と評判のワンプレートランチ

人気メニューの「サンサンランチ」(800円)は、3種類のおにぎりと、日替わりのおかずが約5種類。お味噌汁もついています。

おかずの内容は、その日のスタッフ全員で相談して決めています。現役のママだけあって、体に優しい家庭料理が中心です。

この日のメニューは、輪切りのナスの上に、ツナマヨとチーズを乗せてオーブンで焼いた「ナスのツナマヨチーズ焼き」。シンプルですが、大人も子供も大好きです。

玉子焼きには、栄養バランスを考えてホウレンソウを入れました。仕上げはかわいいハート形にひと工夫しました。

大塚さん:
「飲食店をやったことない人たちの集まりだから、みんな不安だけど確認作業を重ねて…」

鶏モモ肉の照り焼きもあり、スタッフそれぞれが得意分野を活かしながら、バラエティー豊かなワンプレートを作り上げます。

おにぎりは、あおさのりが乗った塩むすびに、醤油の香りが香ばしい焼きおにぎり、枝豆と塩コンブの3種類です。

これだけの種類を日替わりで考えるのはかなり大変ですが、週に何度も通ってくれる常連客も多いため、飽きないように工夫を凝らしています。

ボリュームを少し抑えた「ニコニコランチ」(600円)も人気です。
■都合の良い日時に子供連れで…「子連れ出勤大歓迎」の働くママに嬉しいカフェ

この店では、総勢16人のママが働いています。長時間にならないように、午前と午後で交代ができるようにシフトが組まれ、都合の良い日の都合の良い時間だけ働いています。

みんなで決めているルールの一つが、「子連れ出勤大歓迎」です。
スタッフ:
「子供と一緒に働けるのは、一番求めていたもの。預けて働くのと、一緒の空間で働くのは意味が違う」
別のスタッフ:
「これぐらいの子がいると、預け先をどうしようってなるけど、ここだと一緒に連れて働けるのは嬉しい」

スタッフみんなが同じ立場のため、子供を連れてきても気兼ねなく仕事に打ち込める。休憩中には、子育ての悩みを相談し合うこともあるといいます。
■テイクアウトのお弁当の配達も…小学生以上の子供はスタッフとしてお手伝い

カフェには、「子連れ出勤大歓迎」の他にも、母親についてきた小学生以上の子供は「子ども店員」として、手伝いをするというルールもあります。例えば、食べ終わった後の食器を片づけたり、テイクアウトのお弁当に感謝のメッセージを記入したり…。

テイクアウトの弁当を注文した男性:
「心を込めて接客してくれているので、気持ちよく買い物に来られます」

テイクアウトのランチを持って店の外へ…。依頼を受けた同じ施設内のお客さんへ配達のお手伝いです。
■ママたちが無理せず働ける場所を…3人の育児をしながら理想の店を作る

今年4月、大塚さんは、就労支援事業をするNPO法人から、空き店舗を使ってのカフェの運営を任されました。大塚さん自身が、母親の労働を支援する団体の代表を務めていたこともあり、白羽の矢が立ちました。有志を募って店を始めてみると、今までに無かった充実感を得られたといいます。

大塚さん:
「ここに来たら、大好きな仲間がいるのが嬉しくて。家に帰れば子供たちの世話とか疲れるけど、楽しくやっている実感がある」
15人のスタッフを束ねながら、家に帰れば3人の子供たちのママ。仕事と家事の両立はもちろん大変ですが、夫の支えもあり、忙しい毎日を前向きに頑張ることができています。

午前9時半に3人の子供と一緒に出勤。子供たちも椅子を下ろすなど開店準備を手伝います。
大塚さん:
「保育園に預けて働く場所ならたくさんあるじゃないですか。楽しんで働いてもらえる場所を増やしていきたいっていうのがもともとあって…」

オープンして半年以上が経って店の噂は口コミで広まり、常連も増えてきました。そのほとんどは、スタッフと同じ子供を持つママで、忙しい家事の合間にちょっと一息できる憩いの場になっています。店の営業は午後2時までと少し早いですが、「104カフェ」のルールです。
大塚さん:
「無理をすれば頑張れちゃうけど、無理をすると子供にも無理がいく…。楽しくない場所になっちゃう…」

「子連れのお母さんが楽しんで働ける場所をもっと増やしていきたい」、大塚さんの目標です。

「104カフェ」は、愛知県豊橋市の複合施設「ライフポートとよはし」にあります。