アイドル好きな女子大生達が、アイドルのコピーダンスの日本一を決める「ユニバーシティアイドル」、略して「ユニドル」という大会があります。この大会を目指し活動を続ける女子大学生たちは、コロナの影響で約2年、ステージに立つことができませんでした。しかし、12月に久しぶりに開催された予選大会で、ステージで思いっきり「好き」を表現することができました。

■アイドルに近づきたい…アイドルコピーダンス日本一を決める“ユニドル”大会目指す女子大生

 名古屋の金城学院大学の16人のユニドルチーム「炭酸メリリエット」。メンバーはアイドルの曲をコピーし、大学対抗でパフォーマンスを競う大会「ユニドル」への出場を目指して活動してきました。

【画像20枚で見る】アイドルのコピーダンス『ユニドル』日本一へ “好き”を表現する女子大生たち

ももさん:
「金城学院大学の、薄紫色担当のももです」

ゆかさん:
「金城学院大学1年生シルバー担当のゆかです」

 全員、アイドルではなく大学生。踊っているのも、彼女たちが好きなアイドルの曲です。衣装も自前でつくりました。

■コロナ禍で決勝大会が3連続中止…学生最後の大会に向け練習再開

 高校時代から櫻坂46のファンだった4年生のあこさんは、大好きなアイドルに少しでも近づきたいと入学してすぐに「炭酸メリリエット」で活動を始めました。ところが、2年生の終わり頃からのコロナの感染拡大で、状況は一変します。

あこさん:
「コロナ禍で予選はできているんですけど、本大会の決勝が3大会連続で中止になって…」

 年に2回行われるユニドル大会では、全国各地の予選を勝ち抜いたチームが決勝に進みますが、コロナの影響で決勝は3連続中止。去年の夏は、予選も中止になりました。さらに大会だけでなく、地域のイベントや学園祭への出演もとりやめになってしまいました。

あこさん:
「頑張ろうと思っていた矢先だったので、どこで頑張ったらいいのか…。残念、悲しい、どうしようもない。後輩に何も教えられずに、時間だけがただ過ぎてしまった…」

 4年生のあこさんにとって最後となる、ユニドル大会の東海予選まであと1か月と迫ったこの日。コロナが落ち着きを見せていることもあり、久しぶりに対面練習が再開しました。

あこさん:
「顔見て一緒に練習しないと、細かいところまで合わせるのが難しいので、やっぱり会うのは大事」

和気あいあいと練習は進みますが、取り組む姿勢は真剣そのもの。メンバーが大移動し1列になるパートでは、体がぶつかってしまい、うまくいきません。

あこさん:
「全員無視して、自分が行くぞという気持ちで、ぶつかってもいいという気持ちで」

何度も、完璧になるまで繰り返します。

■「推しが頑張っているから自分も頑張ろう」…大好きなアイドルに近づくため練習に励む

 この日は、卒論の準備をしていたあこさん。この後、週に3回行われているユニドルのための練習です。練習は、夕方から夜遅くまで続くといいます。そんな忙しい毎日の癒しになっているのは…。

あこさん:
「(写真見て)かっこいい、かわいい、最強ですね。『=LOVE(イコールラブ)』の野口衣織さんなんですけど」

指原莉乃さんプロデュースの11人組アイドルグループ「=LOVE」の野口衣織さん。あこさんが一番“推している”メンバー、「推しメン」です。

あこさん:
「元気も出るし、インタビュー読んでも『推しがこんなに頑張っているから自分ももっと頑張ろう』って思います」

■いよいよ予選大会当日…3大会連続中止の悔しさをステージにぶつける強豪チーム

 12月8日、いよいよ「ユニドル2021-2022Winter東海予選」当日。コロナが落ち着き始めているため、観客の数は前回のおよそ1.3倍です。

あこさん:
「たくさんお客さんがいるので、ステージに上がれるのはすごく楽しみ。優勝を目指して、頑張っていきたい」

 予選には15組が参戦し、上位2チームが来年2月の東京での決勝に進みます。「炭酸メリリエット」が最後に決勝に進んだのは、あこさんが入学する前です。

理由は、東海地方のユニドルは強豪ぞろいのため。中でも、中京大学の「ヒトノカネデスシガタベタイ」は、一糸乱れぬ力強いパフォーマンスで東海予選3連覇中。しかし、出場できるはずの決勝大会は、相次いで中止になってしまいました。

ヒトノカネデスシガタベタイのあやかさん:
「決勝のためにずっと頑張っていたし、優勝したのも決勝のためで、ゴールがなくなってすごく悲しい悔しい…」

 コロナで奪われた青春。その悔しさを、ステージにぶつけます。完璧に揃ったダンスで、観客を魅了しました。

■練習で苦労した16人の迫力のダンスも成功…ステージで全力を出し切る

 ステージ上では、次々と強豪チームがパフォーマンスを披露。それを見た、あこさんは…。

あこさん:
「他のチームがやっぱりすごいので、負けたくなくてどうしても…」

負けたくない…、強い気持ちから、思わず涙が。そして、いよいよ「炭酸メリリエット」の出番。練習でうまくいかなかった部分も、バッチリ決まりました。16人という大人数を活かした大迫力のダンスを、ミスなく踊りきりました。

あこさん:
「今までステージに立つ機会が減っていたので、そのへんのカバーは大変だった。いつもよりお客さんの顔が見られて、すごく楽しいステージでした。やり切った反動で泣いちゃった」

■全てをかけ掴んだ決勝への切符…予選2位で念願の決勝の舞台へ

 全てのステージが終わり、いよいよ結果発表。東海予選の1位に輝いたのは、3連覇中の中京大学の「ヒトノカネデスシガタベタイ」でした。決勝進出へ残る枠は1つ。2位は…。

司会者:
「炭酸メリリエットです!」

あこさん、初めての決勝進出です。

あこさん:
「今回に全てをかけられて、すごく嬉しい。もっと忙しくなると思うけど、負けずに頑張っていきたい」

 コロナによって「好き」を表現する機会を奪われた女子大生たちは、残されたわずかな時間で輝きを取り戻します。