YouTubeに、外国人が配信する不思議な「名古屋ソング」があります。歌詞の中で「ナゴヤナゴヤ」と名古屋を連呼するこの謎の歌は、一体誰が何のために歌っているのか。調べてみると、コロナ禍でなかなか本国に帰れない名古屋在住のある国の女性が、ふるさとに向け”名古屋の魅力”を歌ったものであることが分かりました。

■名古屋の人に全く知られていない…“ナゴヤ”を連呼する謎の外国語ソング

 YouTubeにアップされているこの動画は、歌詞の内容はよくわかりませんが、外国語に交じり“ナゴヤ”を連呼する謎のデュエットソングです。

 3番まである約5分の曲には、「テバサキ…」、「ヒサヤオオドオリ…」、「ナナナ、ナナチャン…」など名古屋の名物や名所らしき歌詞も登場。名古屋をアピールしているようにも聞こえますが、「ザ ファニー(滑稽な)シティー ナゴヤ…」のようなフレーズもあります。

【画像20枚で見る】「ナゴヤナゴヤ♪」動画サイトに外国人が配信する“謎の名古屋ソング” 調べたら祖国への想いが詰まっていた

 名古屋の街で、この曲がどのくらい知られているか聞いてみました。

男性:
「知らない」

女性:
「初めて聞きました。すごい名古屋推してるなって」

 初めて聞くという人ばかり。それもそのはず、YouTubeでの動画再生回数は約1300回とあまり聞かれていません。名古屋人の知らないところで歌われているこの謎の曲は、どこの国の言葉に聞こえるでしょうか…。

男性:
「アラブ系か、東南アジア系か…」

女性:
「東南アジア?タイ」

 曲調や文字の雰囲気から東南アジア、特にタイではという声が多く聞かれました。

■タイ人「スリランカ!」スリランカ人「ネパール!」…どこの国の人が歌っているか深まる謎

 手掛かりは、動画のジャケットに映っている男女と、歌われている外国語。まずは、名古屋市東区にあるタイ料理のお店「東桜パクチー」を訪ね、お店で働くタイ人のスタッフに動画を見てもらいました。

タイ人のスタッフ:
「分からない…タイ語じゃないね。スリランカ!」

 タイ人の皆さんは、文字を見る限り“スリランカ”ではないかと推測。そこで、中区にあるスリランカ料理のお店「スリランカの台所」で、動画の曲を聞いてもらうと…。

スリランカ人の料理人:
「スリランカ人ではないです」

 男性は、イントロだけでスリランカでないと断言。理由は、「ジャケット写真」に写る男女の顔から、スリランカ人ではないとすぐに分かったといいます。では、一体どこの国の人なのでしょうか。

スリランカ人の料理人:
「これ見ると、ネパールの方と思います」

 顔の特徴などから、ネパール人ではないかとのことでした。

■ネパール料理店オーナー「女の子を知っています」…ついに歌っている女性を特定

 そこで、中区にあるインド・ネパール料理の店「インパール」へ。ネパール料理店のオーナーの男性に、動画を見てもらうと…。

ネパール人の男性:
「あーわかったわかった。女の子を知っています。学校の先生をやったり、店をやっている」

 男性は、歌っている女性を知っていました。

ネパール人の男性:
「そんなに遠くないから会えるよ。会えるし、踊ってみせるし、何でもOKだよ」

 ジャケットの女性はネパール人で、学校の先生をしながらネパール料理店で働いているといいます。

■帰国が叶わない母国に向け…名古屋在住のネパール人女性がその想いを歌う

 親切な男性の案内で、彼女が働くというネパール料理店へ。そこには、「ナマステ!」と笑顔で挨拶をする女性がいました。

 ナゴヤを連呼する歌を歌っていたのは、名古屋在住20年のアスタ・トゥラダールさん。名城大学を卒業後に博士号を取得。現在は大学の非常勤講師をしながら、中区錦のネパール料理店で働いているといいます。一体何がきっかけでこの歌を作り、どのようなことを歌っているのでしょうか。

アスタさん:
「今年の2月くらいに、コロナが深刻になって日本とネパールの行き来ができない。手紙を送っても、郵便物も届かない。名古屋の魅力を伝えながら、名古屋に住んでいる人の事情を、本当のことを伝えたかった」

 アスタさんは、2021年2月に、帰国が叶わないネパールに向け名古屋の魅力を伝えたいとこの歌を作ったといいます。コロナ禍でなかなか会えない名古屋のネパール人男性と、本国にいるネパール人女性とのやりとりという設定で歌われました。

 歌詞を日本語に訳すと、「名古屋においでよ、セントレアのラウンジで待ってるよ」、「手羽先も食べに行こう」「名古屋城で自撮りしよう」など…。

 アスタさんは、名古屋の魅力を伝えるため、歌詞に名物や名所を入れ、より多くの人に見てもらえるように英語も織り交ぜました。ちなみに、一緒に歌っている男性も名古屋在住のネパール人歌手で、アスタさんからデュエットを持ちかけたといいます。

 ネットで見かけた謎の名古屋ソングを調べてみたら、コロナ禍でなかなか本国へ帰れない名古屋在住のネパール人女性が、ふるさとに向け“名古屋の魅力”を歌ったものであることがわかりました。

 動画はYouTubeで「astha 名古屋 名古屋」で検索すると見る事ができます。