任期満了にともなう岐阜県の美濃加茂市長選挙が1月16日に告示されました。今回の選挙は、受託収賄事件をめぐり4年前に辞職した前市長と、その後継指名を受けて市長となった現職との異例の選挙戦となっています。

■かつての上司と部下で争う構図となった異例の美濃加茂市長選挙

伊藤誠一氏(16日):
「命を守る、経済を守る、社会を守る、市民を笑顔にする、そういう事業を継続させてください」

藤井浩人氏(16日):
「私たち皆さんでこれからの美濃加茂市を変えていく、つくっていく、そういう思い」

 現職の伊藤誠一さん(65)と、前市長の藤井浩人さん(37)の一騎打ちとなった美濃加茂市長選挙。

「美濃加茂市の将来を考え踏み切った」有罪判決が確定し再審請求中の藤井前市長 市長選への出馬を正式表明

 市役所の新庁舎建設計画などが主な争点ですが、今回の選挙、伊藤さんの対立候補に藤井さんが出馬したこと自体が大きく注目されています。

 2013年に当時28歳で美濃加茂市長に初当選した藤井さん。

 その後、受託収賄などの罪に問われ、有罪判決が確定したことを受けて2017年12月に辞職。

 藤井さんが自身の後継として出馬を依頼したのが、当時副市長だった伊藤さんです。

 今回の選挙は、かつての上司と部下で争う構図となっています。

■妻に支えられ戦う現職の伊藤誠一さん「公務のウエートを大事にしたい」

 現職の伊藤さんは、告示前から市長の公務の合間を縫って活動を続けてきましたが、選挙戦に突入しても公務に追われていました。

伊藤誠一氏(17日):
「(妻に対し)県のコロナ会議が入ったで。代わりに頼まないかんで、よろしく頼みます」

 伊藤さんに代わって街宣車に乗るのは、妻のマリ子さん。夫の支援を呼びかけます。

マリ子さん:
「公務のウエートを大事にしていきたいという主人の思いを受けて、頑張りたいと思います」

 妻にも支えられながら戦う伊藤さん。かつての「上司」藤井さんとの異例の選挙戦となったことへの思いは…。

伊藤誠一氏:
「選挙を誰とやるかということは基本的には関係ないと思いますね。自分がこういうことをやりたいんだ、こういうことをこれから皆さんと一緒にやりましょうということを訴えることが選挙だと思っているので。健康な街とか元気な街っていうのをお伝えして、それを皆さんに評価いただければ本当にありがたいと思っています」

■前市長の藤井浩人さん「これからの美濃加茂市に何が必要か訴える」

 一方、前市長の藤井さん。この1か月ほぼ毎日、挨拶活動を続けています。多忙な藤井さんもまた、支えとなっているのは家族です。

藤井浩人氏:
「最近はなかなか(子供と一緒に過ごす)時間もとれないですね」

妻・伊吹さん:
「大変です。4年間、1日も無駄にせず頑張っている姿を見ていたので、すごいなと思っています」

藤井浩人氏:
「僕は無理をお願いしていますので、何も言えません」

 有罪判決が確定し市長を辞職したものの冤罪を訴え続け、現在再審請求をしている藤井さん。家族にも負担がかかる中で、かつて後継指名した相手と相まみえてまで立候補した理由を聞きました。

藤井浩人氏:
「今の市長さんには信頼を置いて次の市政を担っていただいているわけですけども、今でも感謝の気持ちと尊敬の思いは変わらずあります。今回は市長さん個人に対する思いというよりは、これからの美濃加茂市・美濃加茂市政に対して何が必要かということを訴えなければいけないという思いで立候補しております」

■「少し義がないのでは…」支援者や市民の様々な思い

 元々協力して市政運営をしてきた2人が争う異例の選挙戦。支援者や市民も様々な思いを抱いていました。

 藤井さんが市長時代に後援会の幹部だった大野満さん。今回の選挙戦では、伊藤さんの支援に回りました。

大野さん:
「前回は藤井さんを一所懸命応援した支える会の元メンバーですけど、今回は藤井さんには少し『義』がないのではないかと」

 後継指名した以上、伊藤さんが市長を辞するまでは立候補すべきではなかったと話します。

大野さん:
「『本当に藤井頑張っとるな』というところを見てもらって、しっかりとした土台を作って、それから正々堂々と市長に復帰していただきたかった」

 藤井さんに再び市長として活躍してほしいと願う市民もいます。

藤井氏を支持する男性:
「本当に有名な方というか、頑張ってほしいなと」

藤井氏を支持する女性:
「私は藤井さんにもう一回頑張ってほしいなと思いますけど。ああいう形で途中で辞められたんだし」

 様々な思いが交錯する異例の選挙。美濃加茂市長選は1月23日投開票です。