コロナ禍の今、雑誌「日経トレンディ」の2022年ヒット予測に「次世代自販機」というキーワードがランクインするなど非接触である「自動販売機」が注目されています。東海地方で珍しい自動販売機を探すと、和菓子や黒毛和牛などのグルメから、粘土やプチプチなど様々なユニークなものがありました。

■何が出てくるかわからない…80円のドリンクの自動販売機「なぞかん」

 名古屋市守山区の住宅街に佇む、「なぞかん」と書かれた自動販売機。値段は全て80円のこの自販機には、「定番から激レアまで100種類以上のドリンクからなにがでるかな♪」と書かれています。

【画像20枚で見る】何が出てくるか不明の物まで…ナゴヤにあった『独特すぎる自動販売機たち』42mのプチプチも

早速購入してみると、「ヨーグルンソーダ」という見たことがないドリンクが出てきました。続いて出てきたのは、定番の「三ツ矢サイダー」。しかも80円なのに500ミリリットル缶です。

その後は、「ドクターペッパー」、「ビタミン全開」、「カナダドライ ジンジャーエール」など、全て炭酸系飲料が出てきました。近所の人に利用したことがあるか聞いてみると…。

女性:
「買わないです。何が出るかわからないから」

男性:
「あまり使わないですね」

 この「なぞかん」を設置した会社に、作った理由を聞いてみると「面白そうだから」とのことで、遊び心から生まれた自販機でした。ちなみに、1本目に出た「ヨーグルンソーダ」よりレアな商品も存在し、最も出る確率が低いのは海外のドリンクとのことでした。

■本格的なステーキを自宅で…田んぼの真ん中に現れる黒毛和牛の自販機

 愛知県豊田市の田園地帯に現れた白とピンクのかわいい自販機では、焼肉用の肉が販売されていました。「赤身 焼肉用」(170グラム1800円)に、「ロースステーキ」(180グラム2200円)など、高級肉が並びます。この自販機は、「直売所」と書かれた建物の前に設置されていました。なぜ、牛肉の自販機なのでしょうか。

谷澤牧場の牧場主の男性:
「(直売所が)週一回の営業なので、毎日買ってほしいと自動販売機を」

建物のすぐ裏には牛の牧場が…。牧場主の男性は、豊田のブランド牛「黒毛和牛 ゆたか牛」を飼育するかたわら直売もしていましたが、多忙でなかなか販売にまで手が回らず、直売所の営業は火曜日だけ。もっと購入機会が欲しいという客の要望を受け、2021年6月に「和牛の自動販売機」を設置しました。コロナ禍もあり、評判は上々だといいます。ちなみに、オススメは…。

同・男性:
「赤身がおいしいので、ステーキがオススメ」

「ステーキ」(180グラム2200円 部位はリブロース・サーロイン・肩ロースのいずれか)を購入して焼いてみると、赤身と脂のバランスが絶妙な本格的なステーキでした。

 コロナ禍で誕生した絶品グルメが楽しめる自販機は他にも。

愛知県豊明市に2021年に登場したラーメンの自販機「ヌードルツアーズ」では、全国の有名ラーメン店の味が楽しめます。

生麺や、チャーシューなどの具材は冷凍されており、「田中そば店」(1000円 チャーシュー・メンマ付き)などの自販機とは思えない本格的な味が自宅で楽しめます。

 愛知県大治町の和菓子店「松葉堂」の自販機では、「鬼まんじゅう」(110円)や「お花見団子・草餅セット」(180円)などが…。

コロナ禍で店頭販売が減ったため設置したところ、普段は購入しない若い人たちも興味を示し、店のPRにもなったといいます。

■介護施設での手先の運動用に購入していく人も…全長42メートルのプチプチの自販機

 名古屋市中村区にあるのが、「プチプチ自動販売機」。ユニークな販売スタイルで、カギがかけられ番号が書かれた箱の隣には、1台のガチャガチャがありました。500円を入れて回すと、「5番-173」と書かれた一枚の紙が出てきました。

5番の箱の南京錠のダイヤルを「173」に合わせると箱が開き、中からは荷物の梱包などに使用するお馴染みのプチプチが…。この自販機を製造した会社に、作った理由を聞きました。

川上産業の担当者:
「弊社は“プチプチ”という名称で登録商標を取得していまして、お客さまからも手軽に買えたらという声もいただいており、設置することに」

愛知県生まれのプチプチは、この「川上産業」の登録商標で、手軽に買えるようにと2013年に製作。ちなみに、プチプチは42メートルもあり、この自販機は日本に2台しかないといいます。どのような人が買いにくるのでしょうか。

同・担当者:
「引っ越しで使われる方や、介護施設でご老人の手先の運動でということも」

■「ねんど」に「だし」に「チリソース」…洋菓子が買える次世代型自販機も

 名古屋の企業が作ったユニークな自動販売機は他にもあります。中区で文具や玩具を販売する「銀鳥産業」の自販機では、米粉を使った「お米のねんど」(300円)。

会社のPRのために設置したところ、想像以上に反響がありました。裏にはアルコール除菌シートが付いているなどコロナ禍ならではの工夫もされています。

“和風だし”の自販機「だし道楽」は、だしを販売していた広島の醤油屋さんが、気軽に購入したいという客の声を受け2007年に開始。

「焼きあご入り」など3種類のだしが販売されています。

“チリソース”の自販機「スリラチャの赤備え」では、アメリカで大ヒットしたニンニク仕立てのうま辛ソースを販売。岐阜県羽島市の会社が、コロナ禍で対面販売ができなくなり始めました。現在、東海地区の70か所に設置されています。

 愛知県岩倉市の洋菓子店「アンジュール」の店先に設置されている“洋菓子”の自販機では、9種類の自家製スイーツを販売。

一番人気の「いちごのミルフィーユ缶」(850円)は、缶詰のようにプルタブを引くと、中にはパイ生地やカスタードクリーム、いちご、ラズベリーピューレ、スポンジがぎっしりと詰まっています。新商品「チョコバナナミルフィーユ缶」も人気です。