三重県伊賀市の国道沿いにある“忍者ドライブイン”が3月、惜しまれながら55年の歴史に幕を閉じました。ドライブインの数が減り続ける中、東海3県の頑張るドライブインを取材しました。

■1970年代には全国に2000軒以上も…減り続ける「ドライブイン」

 伊賀市の名阪国道沿いにある名阪上野ドライブイン、通称“忍者ドライブイン”。

【画像で見る】魅力的な『ドライブイン』東海3県でまだまだ営業中 真珠出てくるカプセルトイも

 90年代には、年間8万台もの大型バスで賑わいましたが、新名神高速の開通や新型コロナなどで経営が悪化し、2022年3月、55年の歴史に幕を閉じました。

 最後の営業日には多くの歓声に包まれ、“忍者ドライブイン”はその役目を終えました。

 ドライブインについて、旧名称・日本ドライブイン協会、現在は「日本観光施設協会」の副会長、井上喜昭さんに伺いました。

 そもそもドライブインとは、食事やお土産、休憩場所を提供する施設のことで、トラックや観光バスなども収容できる大きな駐車場を持つことが特徴です。1960年代から、経済成長に伴い観光バスでの団体旅行がブームになったとき、全国各地に誕生しました。

 井上さんによりますと、ピーク時の1970年代には全国に2000軒以上のドライブインがあったといいます。

 しかし平成に入ったころから、高速道路をはじめとする道路網が整備され、車がお店の前を通らなくなったり、国交省管轄の「道の駅」が整備され始めたほか、高速道路のSA・PAやコンビニにも押され、その数は減り続けています。

「最近、見かけることが減ったな」と感じる方もいるかもしれませんが、東海3県には様々な魅力で客を引き付けるドライブインがあります。

■名産・真珠のアクセサリーが出るカプセルトイも!三重県の「名阪関ドライブイン」

 三重県亀山市にある「名阪関ドライブイン」。

 フードコートに個室もあるレストランなど、3種類のレストランがあるのが自慢です。

 松阪肉を使ったステーキ御前や、三重で養殖が盛んな真鯛をユッケ風にした丼など、豊富なメニューが揃っています。

 中でも人気が高いのは、うどんを赤味噌ベースの濃厚な味噌ダレをからめて焼き上げた、B級グルメ「亀山みそ焼きうどん」。お肉は贅沢に松阪肉を使っています。

客:
「奈良の生駒市から。何回も来ています。ここは食事がおいしいですよね」

別の客:
「10回は来ていると思います」

 お土産コーナーも豊富で、定番の赤福の他に、ここオリジナルの伊勢海老のせんべいや、ハンペンをはじめとする専門店もそろっています。

 オリジナルの「カプセルトイ」もあります。価格はなんと1000円です。中身を見てみると…。

(リポート)
「真珠の指輪が出ました」

 三重の名産・真珠のアクセサリーが出てきました。もちろん真珠は本物です。

名阪関ドライブインの担当者:
「コロナの影響を受けまして、売上は半減。大型連休とかにイベントを企画しております。レトロな雰囲気を残しながら、色々なイベント等を行って、お子さまや新しい層のお客さまにもご来店いただければ」

■看板メニューは長さ約20センチの大きな五平餅!愛知県の「ドライブイン伊勢神」

 次に向かったのは、国道153号線沿い、愛知県豊田市にある「ドライブイン伊勢神」。

 1968年にできた老舗で、レトロな風情がたっぷりです。

 こちらは地の利を生かしたグルメが満載。地元でとれた自然薯を使った、とろろうどんに、野入川でとれる今が旬のイワナなど、74種類が揃います。

 看板メニューは、長さおよそ20センチの大きな五平餅。クルミやゴマの入った秘伝の甘めの味噌を塗って、じっくり焼き上げます。

ドライブイン伊勢神の代表取締役:
「土曜日・日曜日だと100本200本売れる。(販売は)昔からですね 50年くらい経つかな」

 テイクアウトには、地元産のよもぎを使った自家製の大福も人気です。

客:
「よもぎ大福を買いに来た。名古屋なんですけど、山を越えてくると空気が変わるから、そこが好きで」

別の客:
「ここで食べ物を食べると、何となくおいしく食べられる」

ドライブイン伊勢神の代表取締役:
「コロナが収まれば、店もお客さんが多くなるのでいいかと思うんですけど、今のところはやっぱりお客さんが少ないということで、テイクアウトが主力になります。今はとにかくつぶれないように頑張っていくしかないです」

■屋内でできる「デイキャンプ」施設が2021年にオープン!岐阜県の「ドライブインみぼろ湖」

 岐阜県高山市の国道156号線沿いにある「ドライブインみぼろ湖」は、荘川桜から車で2分程の所にあります。

 朴葉みそや鶏ちゃんなど岐阜の郷土料理が楽しめますが、コロナ下の約2年は、ほぼ客がゼロの厳しい状況が続いています。

 そんな中、2021年に新しい施設がオープン。

 もともと200人ほどが入る団体席を、屋内でできる「デイキャンプ」施設に改築しました。天候を気にせず、手ぶらでバーベキューなどが楽しめ、Wi-Fiも完備されています。 お店の人は「荘川桜は4月下旬あたりから見ごろ。ゴールデンウィークに桜を見て、お店にもお越しください」と話しています。