超極薄0.009mm…カフェなのに看板メニューが『かつおぶし丼』の店 舌でフワッととろける“天使のはね”
名古屋市中川区に、最高級のかつおぶしがどっさりのった魅惑のどんぶりが人気のカフェがあります。このかつおぶし丼は、かつおぶしの薄さを超極薄の「0.009ミリ」にすることで、舌にのせるととろける食感が楽しめます。
■「すごいかつおぶしの量でビックリ」…カフェなのに「かつおぶし丼」が人気の店
2022年3月、名古屋市中川区のJR尾頭橋駅から徒歩10分の場所に、カフェ「紗莉庵(さりあん)」はオープンしました。
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9種類の豆を使ったこだわりの「ハンドドリップコーヒー」(550円)に…。
甘酸っぱいイチゴソースの「枡チーズケーキ」(400円)などのカフェらしいメニューがいただけますが…。
この店の看板メニューは、たっぷりのかつおぶしがのった「天使のはね かつおぶし丼定食」(700円)です。
男性客:
「すごいかつおぶしの量なので、びっくり」
女性客:
「魚の香りが全然違います」
このカフェは、かつおぶし丼で地域に笑顔をつくりたいと、冨田貴文さんと妻のまゆ子さんが家族で営んでいます。
■舌にのせるとフワっととろける…0.009ミリに削った最高級のかつおぶし
看板メニューのかつおぶし丼に使うのは、鹿児島・指宿産の高級品「本枯れ節(ほんかれぶし)」。表面にカビを付け3か月熟成させた上質な味わいで、高級料亭などでも使われています。
店主の冨田さん:
「カビが重要で、旨味が凝縮される。とにかく香り高い。削った瞬間から香りが出てくる」
これを専用の機械で削ります。中でも最もこだわっているのが…。
冨田さん:
「0.009ミリ。口の中に入れた瞬間にフワっととろける感じ。口の中でだし感が出る」
「0.009ミリ」という超極薄にすることで、舌にのせると溶けていく食感が楽しめます。
「天使のはね かつおぶし丼定食」の食べ方は、まずはそのままで、旨味と香りを楽しみ。続いて、しょう油をかけて、コクが増しまろやかなおいしさに。
最後は、昆布だしをかけてお茶漬け風に。旨味が増して、最後までおいしくいただけます。
■「フワフワで見たことがない薄さ」…削りたての香りや風味が抜群のかつおぶし丼
お昼時、オープンしたばかりとあって、近所の人たちが来店します。
女性客:
「普通のかつおぶしだと口に残るけど、これは残らなくてあっさり」
別の女性客:
「フワフワで見たことがない薄さのかつおぶし」
かつおぶしは注文が入ってから削るので、香りや風味が抜群です。
女性客:
「新鮮な感じ。あまり食べたことないから、スゴイおいしい」
■きっかけは厄払いでもらったかつおぶし…厚さで味が変わっていくかつおぶしに魅了された店主
冨田さんが、かつおぶし丼を始めたきっかけは、伊勢神宮での厄払いでした。
冨田さん:
「おさがりでかつおぶしをもらった。せっかくなので自分で削ってみようと、最初は包丁で削った」
たまたまもらったかつおぶしをもっと上手に削りたいと、乾物店やかつおぶしの製造現場を見学していくうちに、あることに気付きました。
冨田さん:
「削っていくうちに、厚さや薄さで味がどんどん変わっていく。それに魅了されて…」
一般的なかつおぶしは0.3ミリほどですが、食感や味を引きたてる薄さを研究した結果、超極薄の0.009ミリという答えに到達。このおいしさを知ってもらいたいと、かつおぶし丼を始めました。
冨田さん:
「コロナで世の中暗いニュースが多くて…。かつおぶし丼で笑顔になるので、それを伝えていこうと…」
楽しんで食べてもらいたいと、見た目だけでなく食べ方も工夫しました。他にも、たっぷりのマヨネーズとかつおぶしをふりかけた「おかかマヨチーズトースト」(350円)に…。
海老せんべいに、卵、かつおぶしを挟んだ「懐かしの玉せん」(200円)…。
「自家製出汁きゅうり一本漬け」(200円)など、様々なメニューを用意しました。
■食べて笑顔になってほしい…駄菓子屋のように子供たちが気軽に立ち寄れる場所を
午後3時すぎ、近所の子供たちが次々とやって来ます。
子供:
「おやつ券ありますか?」
「おやつ券」とは、店に来た客(大人)が1枚100円で購入し店に預けます。
子供たちは1人1つ、このおやつ券を使っておやつ券用メニューの中から好きなおやつを食べることができます。
おやつのメニューは、たませんに、きゅうり一本漬け、ラスクやバニラアイスなど6種類。なぜ、おやつ券を始めたのでしょうか。
冨田さん:
「コロナ禍で休学になった時に1人でふらふらしている子供もいたので、どうせならうちにおいでよと。小さいことですけど、何かを食べて笑顔になってもらえれば…」
ひと昔前、どの町にもあった駄菓子屋さんのように、子供たちが気軽に立ち寄れる場所を提供したいと始めました。
女性客:
「共働きの親が多い中、子供は心配になってしまうので、同じ親として良いと思います」
冨田さん:
「コミュニケーションの場にしたい、ただ食事をするだけじゃなくて…」
冨田さんの地域密着のお店には、子供たちの笑顔があふれています。
カフェ「紗莉庵」は、JR東海道線の尾頭橋駅から徒歩10分の場所にあります。