明治用水の取水施設で起きた大規模な水漏れの問題で、「頭首工」の復旧作業は、今後どう進められるのか。地盤工学が専門で、河川の構造に詳しい名城大学の小高猛司教授に伺いました。

 頭首工周辺を上から見た時のイラストです。右手の上流で川底に穴があき、堰の下にできた水の通り道から下流に漏れ出しているとみられています。

 復旧に向けては、まず「穴」がどうなっているのか調べる必要があります。

 水があると細かい部分まで調べられないため、土嚢や鉄板で穴の周りを囲い、水の流れをせき止める作業を進めます。

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 東海農政局などによると、この作業に数週間ほどかかるとみられていますが、今回のように大雨で川が増水すると作業がストップしてしまい、さらに時間がかかる可能性もあるといいます。

 穴の状態が確認できたら今度は塞ぐ作業に入りますが、ただ穴の上にフタをすればいいというわけではありません。

 小高教授によると、下流につながる水の通り道に特殊な砂などを流し込み、全体を埋める必要があるといいます。フタをするだけでは、別の箇所からこの道に水が漏れる恐れがあるといいます。

 こうした工事を経てようやく復旧となりますが、小高教授は「おそらく年単位の時間がかかる」と話していました。

 その間も用水の供給を待っている人が大勢います。復旧までの間も安定的な水の確保が必要です。

 小高教授は「仮設ポンプのある右岸側に、水を集める工事を急ぐ必要がある」と話します。穴があいたままでも、ポンプで水をくみ上げることができれば用水の供給は続けられ、頭首工の機能は果たせます。

 現在も土のうを積み上げて川の流れをポンプ側に集めていますが、復旧までは長期戦が予想されます。

 今後はより強度の高い鉄板などにする必要があるとしています。