愛知県豊田市の矢作川で5月5日、19歳の男性が川に流され死亡しました。愛知県・岐阜県には水難事故が多発する地点が12か所もあり、特に「長良川」は全国で最も水難事故の発生件数が多い川となっています。

■河原でBBQをしていた男性が川で溺れ死亡… 大人の水難事故死者数は増加傾向

 5日、愛知県豊田市の矢作川で「友人が溺れた」などと警察に通報がありました。溺れたのは19歳の男性で、通報からおよそ2時間半後に川底に沈んでいるのが見つかり、死亡が確認されました。

 当時、同級生らと河原でバーベキューをしていて、男性2人が川に入り、うち一人が溺れたということです。現場付近には「流れが速くなることがあるので泳がないでください」と書かれた看板も設置されていました。

1年間で全国の死者150人以上…身近な『用水路』に潜む危険 浅くても溺れてしまう事ある3つのケース

 水難事故の中で河川や湖での事故による全国の死者数の推移を見てみると、2004年は312人だったのが2020年は288人と15年以上ほぼ横ばいですが、そのうちの子供の死者数は54人から19人と減少しています。

 河川財団によると、子供のライフジャケットの着用が定着してきたことで、事故が減っているのではないかということです。ただ、大人の死者数はむしろ増加傾向にあり、「川に入るときは、大人もライフジャケットを着用してほしい」「川全体の特徴や流れの速さ・深さをしっかりと把握したうえで、遊ぶ場所を決めてほしい」と話していました。

 全国で起こる水難事故には「多発地点」がいくつかあります。過去10年間に同じ場所で死亡事故が3件以上発生した地点が全国に38か所ありますが、木曽三川を中心に愛知と岐阜だけで12か所あり、全国の3分の1近くを占めています。

 岐阜県は水資源が豊かだということに加え、名古屋などの都市圏からのアクセスも良いため、たくさんの人が訪れ、事故が起きる確率が高いといいます。特に「長良川」は、全国で最も水難事故の発生件数が多い川です。

■川に流されたらどうすればいいか?水の専門家に聞きました!

 もし流されてしまったときはどうすればよいか、岐阜県を中心に川の見守りや救助活動をしている「川に学ぶ体験活動協議会」の北川健司さんに留意点を聞きました。

 まず、流された人は「大声を出さない」ことです。声を出すことで肺の空気が出てしまい、体が沈みやすくなってしまいます。流されたときは、浮くことに集中してほしいということです。

 流された人を発見した時は、ペットボトルや袋菓子をビニール袋に入れて口をしっかり縛ったものを投げると、臨時の浮き袋として使えます。救助隊が到着するまでに、いかに浮いたままで時間を稼ぐかが生死をわけるといいます。

 また、川に入るときは必ず大人もライフジャケットを着用することが重要だと話しています。