2022年1月、牛丼チェーン「すき家」の名古屋市港区の店舗で、女性店員が勤務中に倒れ、死亡していたことがわかりました。シフト中にもかかわらず、3時間もの間誰も気付かなかったといいます。

 問題は、牛丼チェーン・すき家の名古屋市港区にある店舗で起きました。

 2022年1月、58歳のアルバイトの女性店員が店舗での勤務中に倒れ死亡、死因は心筋梗塞だったといいます。

 すき家の運営会社によりますと、女性店員は2022年1月16日の午後10時から翌日午前9時までのシフトで勤務。午前5時半ごろ、厨房で倒れたということですが、発見されたのは午前8時40分頃でした。

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 なぜ3時間もの間、誰も異変に気づかなかったのか…。背景には早朝の時間帯に、すき家がとっている働き方がありました。

 接客から調理、そして洗い物までを1人で対応しなければならない「ワンオペレーション」=通称「ワンオペ」。

 すき家では、体への負担が大きく、強盗被害が多発した深夜0時から午前5時までは、2人体制をとることを義務付けていますが、午前5時から9時まではこの「ワンオペ」を認めていました。

 午前8時40分ごろ、交代のため出勤した従業員が女性を発見、すでに意識不明の状態で、病院で死亡が確認されました。

 発見までには客の来店もありましたが、女性に気付いた人はいなかったといいます。

 すき家では、健康上のトラブルや強盗被害といった緊急事態に備え、ワンオペ中の従業員に非常ボタンを配布。

 ボタンを押すと、東京にある本部が店内の監視カメラを通じて異常を察知できるようになっていて、首からぶら下げ常に携帯するよう義務付けています。しかし、女性はボタンを携帯していなかったといいます。

 近くに誰かがいれば、助かった可能性もある女性の命…。

 すき家の客からはワンオペについて様々な声が上がりました。

客:
「1人でやっていけるなら1人でやってもらう」
「それはよくないよね。最低でも2人か3人いるんじゃない。1人だと無理、どんな仕事でも」
「やばいことはやばい。経営の問題だよね」

 労働問題に詳しい弁護士は…。

堺法律事務所の松丸正弁護士:
「深夜業としての身体の負担、犯罪等に巻き込まれるリスクとか今回のような体の不調が生じた時に誰も助けてくれない、救急車も呼べない。利益よりも社員の健康。これがこれからの企業の大事な姿勢だと思います」

 問題を受け、すき家は午前5時から9時の時間帯のワンオペを6月中に廃止すると発表、労働環境の改善を進めるとしています。