名古屋市中区の大須商店街に、「神社」や「学園」などの世界観を売りにするメイド喫茶から派生した「コンセプトカフェ」が増えています。メイドのいるコンセプトカフェを取材すると、非日常の空間でリフレッシュする人たちの姿がありました。

■「神社」や「学園」など一つの世界観に特化…出店相次ぐ「コンセプトカフェ」

「深海」の空間で歌って踊る女性に…。

【画像で見る】“神社”や“学園”も…メイド喫茶から派生した異次元の世界『コンセプトカフェ』が急増

制服姿の「男子生徒」…。

参拝客という設定で巫女がおもてなしをする「神社」も…。

一つの世界観に特化した「コンセプトカフェ」、通称「コンカフェ」が今、名古屋の大須で急増。半径300メートル圏内におよそ70店が軒を連ねています。

中でも、メイドの元祖であるロングメイドの店「コモレビフィーカ」(入館料330円 1時間1ドリンク660円)は、若者から社会人まで幅広い客層で賑わいます。

 午後1時のオープンと共に、早速お客さんがやって来ました。木目調の落ち着いた雰囲気の店内には、450冊もの本が並びます。コンセプトは“英国の書斎”です。

メニューは、アフタヌーンティー。およそ20種類が揃う世界各国の紅茶やコーヒーの本格的な味も評判です。注文すると、ロングメイドの店員が、目の前でコーヒーを淹れてくれます。

会社員の男性(48):
「心を整えようかなと。会社で怒られた時とか『怒られた~』って行くことも。嫁とのストレスもあるので」

■「アイドルはたくさんいるので」…SNSでプライベートを配信しファン獲得を目指すアイドルの女性

 友達とやって来た七星(ななせ)きぃさん(25)は、大須を拠点に活動する4人組アイドルのリーダーです。

七星さん:
「コンカフェのキャストさんもみんな可愛いから…。たくさんアイドルがいるので、同じことしていたらつぶれちゃうから…」

コロナ禍で、七星さんのグループのコンセプトは、“会いに行けるアイドル”から“家でも会えるアイドル”へ。

ツイッターやインスタグラム、TikTokなど様々なSNSで、ファンに向けてメンバーのプライベートの様子を毎日配信しています。多様化の時代には、個性あるコンセプトが求められています。

■コロナ禍に空き店舗が増加…コンセプトカフェが増えた理由

 およそ20年前にブームとなった「メイド喫茶」から独自路線の店が派生し、総称して「コンセプトカフェ」と呼ばれるようになりました。

コロナ禍の2021年から店舗数は倍増し、大須に現在およそ70店。なぜ、ここまで集中したのでしょうか。

コモレビフィーカのオーナーの女性(35):
「コロナ禍でテナントが空いてきて、(アイドルが歌う)ライブハウスが閉鎖されてとか…。お客さんが、女の子が歌っているのが見たい、応援したいと。そういった新規のお客さんが多かったのも背景にある」

コロナ禍で空き店舗が増え、賃料の低下に伴って、東京や大阪のコンセプトカフェが進出しています。

さらに、活動の場を失ったご当地アイドルを店員として採用したり、応援する場を失ったファンの新たな拠り所にもなっているといいます。

■「仕事の鬱憤を晴らすじゃないけど」…仕事の話につい饒舌になる社長の男性

 午後5時、店にはスーツ姿の男性が…。

製造会社の社長(50):
「仕事が一段落したので。ストレスを感じるので、その鬱憤を晴らすじゃないけど」

かわいい猫が描かれた「お絵描きケーキ」(990円)を食べながら、メイドとの話題は“社長業”について…。

同・社長:
「相手の会社の社長だったり、しゃべらないかん時があるから。一生懸命考えますよ、どういう風にしゃべろうかって。その時のプレゼンによって話し方を変えるし、どうやったらお客さんが喜んでくれるか、笑ってくれるのかを考えるし…」

ついつい、社長も饒舌に。その後、240万円の高価なディスクオルゴールでデトックス。およそ1分間の心地良い音色に、心癒やされます。

■「喧騒から離れたい」…非日常の空間でメイドに癒される人々

 午後8時。駆け込んできた男性は、会社の社長からホステスまで、様々な人を乗せている運転手の男性です。仕事の合間に立ち寄ったといいます。

運転手の男性(31):
「職責上ナメられるじゃないけど、結構横柄な感じの方も…。その喧騒から離れられるから癒される。生きていて良かったみたいな」

英気を養い、再び仕事へ向かいます。

 メイドをする女性は、客との他愛もない会話を大切にしているといいます。

メイドのみずきさん:
「日々の疲れを癒したい方もいるので、あまりプライベートな詮索はしないように。他愛もない話をするように。心のよりどころみたいな寄り添える存在になれたら」

会社員の男性(49):
「ここにいる間は仕事のことは一切忘れて。趣味の話とか本とかに没頭できる。扉を開けると違う空間に入ったような感じ」

非日常の空間でリフレッシュ。大須で進化する異次元の世界「コンセプトカフェ」で、それぞれの特別な時間を過ごします。