2022年8月中旬に行われた全米女子アマで優勝した馬場咲希選手。17歳の現役女子高生ながら、日本人として37年ぶりの快挙を成し遂げたニューヒロインだ。凱旋試合の舞台は愛知県に決まった馬場選手のニックネームは「手羽先ちゃん」。この地方との意外な接点があった…。

■シンデレラガールの素顔「今は友達と遊ぶより外国でプレーするほうが楽しい」

 8月15日、ゴルフ界に誕生した175センチのシンデレラガール、全米女子アマで優勝した馬場咲希選手(17)。世界を制してから4日後の8月19日、帰国したばかりの馬場選手が取材を受けてくれた。

【画像で見る】あだ名は“手羽先ちゃん”馬場咲希 目標は「ゴルフ界をひっくり返すぐらいの飛距離」

馬場選手:
「(優勝した瞬間の)歓声に本当にびっくりして…。周りの応援してくれる人とかもすごく増えて、たくさん試合前とかに応援メッセージが来るようになったのは、すごくうれしいです」

 服部道子さん以来、日本人として37年ぶりの栄冠を手にし、一躍、時の人となった馬場咲希選手。東京都出身で、ゴルフは5歳の時に始めたが、勧めてくれた父・哲也さんの理由は意外だった。

馬場選手:
「幼稚園とかのお遊戯会が本当に苦手で、人の前に立ちたくないし、目立ちたくないっていうふうに思っていたんですけど…。人前に立つときょろきょろしたりとか、それがかわいそうだからって(父が)スポーツをやらせようかなっていうふうに始めたらしくって」

 ゴルフを始めると、すぐにその才能は開花。175センチという長身を活かしたドライバーショットは、男子顔負けの270ヤード。2022年6月の海外メジャー、全米女子オープンでは世界各国のトッププロが集まる中、日本人アマとして8年ぶりに決勝の舞台に立った。

 それでも、まだまだ17歳の高校2年生。遊びたい気持ちはないのだろうか。

馬場選手:
「もともとは(練習より)遊びたいなって思っていたんですけど、練習の方が楽しくなってきたかもしれない。外国でプレーする方が1000倍ぐらい楽しいです、友達と遊ぶより。こんなこと言っていいのかわかんないんだけど…」

今は何よりもゴルフに夢中の17歳だ。

■正確なアイアンを支える体幹…トレーニングには“空手”も

 優勝した全米女子アマで、現地の人の度肝を抜いたのは、マッチプレー準々決勝の12番パー4。この時のセカンドショットがカップに吸い込まれ、見事イーグル、そして最終日もチップインバーディーを決めた。

 日本人で初めて全米女子アマを制した服部道子プロに、今回の馬場選手の優勝について聞いてみた。

服部道子プロ:
「いやもう、圧巻でしたね。マッチプレーの決勝をあんなに大差で…。しかも、決勝って強い者同士なんですよ。この時代に圧勝できるなんて、本当に驚きましたね」

服部プロは、馬場選手の「魅力」を正確なアイアンと指摘する。

服部プロ:
「彼女のスイングの高さ、アークの大きさ。高さで打てるので、大きい高いボールで上からピンポイントに落とせるアイアンショットは魅力ですね」

馬場選手自身も以前、アイアンが得意だと語っていたことがあった。

服部プロ:
「リーチが長いとぶれやすい。球も散りやすいっていうところもあると思います。軸がぶれないトレーニングをしているので、すごく安定感がありますよね」

 正確なアイアンショットを支えているのが、「体幹」だ。

宮里藍さんのフィジカルトレーナーを務めた鎌田貴コーチと、様々なメニューで体幹を鍛えている。

鎌田貴コーチ:
「特に重要なのは下半身の強化。下半身の力を最終的にクラブヘッドにつなぐまでには、そこに大きな体幹の要素が加わってくる。下半身をさらに強化できていけば、さらに球に力を与えられるようになると思う」

さらに、体幹を鍛えるためにもう1つ意外な練習法を取り入れていた。

馬場選手:
「空手に行っていて…。こんな感じで…」

オフの期間に、週に1~2度通ってるという空手の稽古だ。

馬場選手:
「ゴルフにも共通する空手のトレーニング。軸とか、あとは下半身、体幹が多めで、きついというより楽しいトレーニングでした」

この数多くの体幹強化メニューこそが、全米女子アマで数々のミラクルショットを生み出し、歴史的快挙達成を支えていた。

■“手羽先ちゃん”が見据える未来 「日本のゴルフ界をひっくり返すぐらいの飛距離に」

 馬場選手には、この地方と繋がりがある “あだ名”がある。

馬場選手:
「あだ名は、“手羽先”?中学校の友達に、『馬場咲希(ばばさき)だから手羽先(てばさき)』っていう感じで、“手羽先ちゃん”って呼ばれたのがきっかけで、ちょっと気に入っちゃいましたね。オウンネームを“手羽先”にしてみました」

 シンデレラストーリーを歩み出した馬場選手だが、凱旋試合になる9月の「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」には、苦い思い出があった。

3年前の2019年、中学2年生のとき、この大会の予選会に出場していたが、惜しくも本戦出場を逃した。

馬場選手:
「1打差か2打差で(本選出場を)逃したのがすごく悔しくて。池が多いコースだなという風に思っていたんですけど、生えている木とかが“南国系”のイメージが…」

新南愛知は今も記憶に残る思い出のコース。9月の大会では「ピンを狙って、バーディーをたくさん取れるようなゴルフを見せたい」と意気込む。


 女子ゴルフ界に現れたシンデレラガールが、今、見据えるものは…。

馬場選手:
「やっぱりもっと飛ばしたい。(海外で)一緒に回った選手たちが、ドライバー打って私の先に行くのが本当にカッコよかったから…。日本のゴルフ界をひっくり返すぐらいの飛距離になりたい」

Qどれくらい飛ばしたいですか

馬場選手:
「290とか300ヤードくらい。目指すはちょっと高いところに、300ヤードくらい目指したいなって思ってる」