ネット社会で客大幅減…100年以上愛された“町の本屋さん”が閉店へ「いい時代のことばかり思い出します」
岐阜県岐阜市で100年以上岐阜で愛された老舗書店が、惜しまれながら8月31日に閉店します。
岐阜市の中心部、名鉄岐阜駅のすぐ近くに店を構える「南陽堂」。
正確な記録はありませんが、100年以上岐阜で店を続けてきたという、昔ながらの「町の本屋さん」です。
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約50年にわたり、この南陽堂を守ってきた山田るり子さん。31日で閉店することを決めました。
るり子さん:
「お客さん来ていただけないから、売上は当然下がりますわね。それとネット社会になったもんでね」
ネット通販や電子書籍の普及にコロナ禍も相まって、店にくる客は大きく減りました。
るり子さん:
「(昔は)活気がありましたよ。とにかく本屋ってすごいなと思ったくらい。今はもう閑散としていますけど」
るり子さんの夫・好昭さんが体調を崩していたこともあって、閉店を決めました。
好昭さん:
「寂しいね。率直な話、寂しいしかないね。色々あったけどね」
るり子さん:
「良い時代のことばっかり思い出しますけどね。元には戻れないなという感じです」
かつての常連客も閉店を惜しみます。
高校時代に来店した男性:
「お店が終わることを知ったので、最後にと思いまして、ぜひと思って購入させていただきました。偶然立ち寄ってふらっと来て、思わぬ掘り出し物を見つけた時の喜びじゃないですけど、そういうことが楽しいかなと思いまして」
ノートに感謝の言葉を書き込んでいた女性は、20年前のアルバイト。
20年前にアルバイトをしていた女性:
「お店の人も本屋さんに来る人も、みんな本好きの人が集まる場所なので、とても居心地よく働かせてもらっていました。エプロンとかも懐かしいし、奥さんもすごく変わってないし、(本の)並びとかも全然変わってなくて、すっごく懐かしいなと思いながら見ています」
懐かしさの一方、昔とは変わったところもあります。
るり子さん:
「ほとんど立ち読みの人がいっぱいで。これではいけないと思って帯をしたんです」
漫画本の立ち読み防止の帯。つけ始めたのはおよそ20年前。子供たちへの優しさから、岐阜市内では一番遅かったそうです。
るり子さん:
「当時、漫画読みたいって(客が)結構みえていたので、意地悪してはいけないなって」
女性客:
「漫画とかも自由に読めるようになっていたので、高校の時とかは自由に読ませてもらって。いつも来ると、おじさんとおばさんがいらっしゃいと笑顔で迎えてくれて、アットホームな感じで温かい本屋だなと思って」
店主夫婦の優しい人柄とともに多くの人に愛された「南陽堂」。
るり子さん:
「今までありがとうございましたということを思って、最後の日を迎えたいと思います。寂しいですけど、お客さんが喜んでいただける、本当に感謝されていたので、ありがたいことだなと思いましたね」
31日、100年以上の歴史に幕を下ろします。