愛知県常滑市のセントレア=中部国際空港で、飛行機を間近で見られる人気のツアーがある。コロナで一時期中止になっていたが、回数を減らすなどして復活している。復活の立役者はツアーの名物ガイドだ。その情熱とツアーの魅力を取材した。

■ガイドの女性の熱い思いで復活…コロナで休止していた「まるわかりツアー」

 午前8時30分、セントレアの第1ターミナルに集まったのは「セントレアまるわかりツアー」の参加者。空港の魅力を存分に味わえると予約が絶えない人気のツアーだ。

【動画で見る】100m先での離陸は大迫力…名物ガイドが届ける“飛行機を見る楽しさ”

マニアから家族連れまで楽しめるこのツアーは、セントレアが開港した2005年にスタート。普段は入れない場所で飛行機が間近で見られると、瞬く間に人気になった。

コロナの影響で2020年からツアーは休止になっていたが、2022年2月に復活。

その立役者が、ツアーガイドを務める「マリリン」こと、高橋真理子さん(52)だ。

高橋真理子さん:
「5人ガイドがいたんですけど、その中の4人が辞めてしまう形になりまして、私1人だけが残ったんですね。なので、私が立ち上げないと立ち上げる人がいないと思いまして…。熱い思いで、この再開に向けてがんばってきました」

ツアーガイドのノウハウを持つ高橋さんが、会社に復活を直訴。その思いが実った。

高橋さん:
「いろいろと調整も大変で、本当はもうダメなのかもしれないと思った時もあったんですね。でも、どうしてもやりたかったので、復活できるとなった時はもう万々歳で。またみなさんの笑顔が見られると思って、本当に楽しみでした」

 以前は毎日開催していたものが、現在は月に数回という形で再開。ガイドも新たに3人を採用し、4人態勢でお客さんを迎えている。

スタッフ:
「高橋さんのガイドはどうですか?」

ツアーガイドの女性:
「最高です!誰もが好きになっちゃいますよ!」

別のツアーガイドの女性:
「スタッフの私たちでも笑っちゃうので…。誰も止められないです」

■空港は一般人が入れない場所ばかり 激レア「飛行検査機」にも遭遇

「セントレアまるわかりツアー」は滑走路の周回路を90分で1周する。このツアーならではの迫力の風景が楽しめる。見どころは、「貨物地区」「滑走路延長線上」「滑走路中央」「駐機場」の4か所だ。

 まずは、立ち入り制限のゲートをくぐり、広大な滑走路へ。これだけでも見どころ十分の「滑走路ツアー」だ。バスはさらに奥へと進み、普段は関係者しか入れない「貨物地区」へ。コンテナを置く格納庫や、貨物専用機を間近で見ることができる。

1.「貨物地区」

高橋さん:
「さあ、入ってきました。ここからは写真撮影をぜひしてください。左側からも飛行機が入ってくるのが見えますよ。黄緑色のしっぽのソラシドエアーでございます。こちらはですね、札幌からやって参りました。そしてみなさま入ってきました。ここの地区は貨物地区と申します」

 ここで突然、マリリン高橋さんの興奮がマックスに。

高橋さん:
「さあ、みなさん、今日はすっごくツイてる!ものすごいことが起きました!なんで私がこんなにびっくりしているかと言うと、普段は閉まっている格納庫が開いてる!『チェッカー機』、別名『飛行検査機』と言いまして、国(国土交通省)の飛行機です。空には飛行機が安全に飛行できるように電波が飛んでいまして、その電波をチェックする飛行機です。これ、他の空港では見られないですからね!以前は羽田空港にあったんですけども、2015年かな、こちらに移ってまいりました。中部に置いたほうが、全国を飛び回るのに都合がいいということもございます」

普段は見られない珍しい飛行機が見られるかもしれないのも、このツアーの魅力だ。

■滑走路まで100メートル…目の前を飛んでいく迫力満点の飛行機

 次にバスは、空港島の北側へ。

2.「滑走路延長線上」

高橋さん:
「まもなく、滑走路の延長線上を横切るという、とっても珍しいことを体験しますけれど、滑走路を横切る時はルールがあるんですよ。飛行機の離着陸があったら、絶対に横切っちゃいけないんです」

運がよければ、バスの目の前を飛行機が横切る迫力の風景に出会えることもあるという。

 続いては、管制塔やターミナルビルを眺めながら、滑走路の中央付近に。

3.「滑走路中央」

高橋さん:
「飛行機を安全に見られる檻のようなものを(ツアー用に)作りましたので、今日はその中におりて飛行機を見ようと思います」

ここが、ツアーの一番のお楽しみポイント。バスを降り、滑走路中央にある柵で囲った場所から、至近距離で飛行機を見学できる。

高橋さん:
「まもなくベトナム航空ですね。離陸に向けて滑走路にきていますので、ぜひぜひお撮りください」

約100メートルの場所から見る飛行機の離陸は大迫力だ。しかも、これだけ近いので…。

高橋さん:
「タイヤを今、しまっているところでございます。ベトナムのホーチミンまでの離陸でございます。かっこいいですね。青い空の中へ離陸していきました」

高橋さん:
「さあ、そして後ろからもやってきました、大韓航空。滑走路とタイヤがこすれて白い煙がポンとあがるところもぜひ見ていただきたいと思います。あと翼の下のエンジンがパカッと開いて逆噴射して、どんどん閉じていく様子も見てください」

離陸や着陸の見どころも教えてくれる。タイヤが着地する瞬間に、白い煙は見えるのか…。

高橋さん:
「あっ、あがった?ちょっとあがったという感じ。大韓航空、ソウルからやってまいりました」

目の前を飛び交う飛行機の数々…。しかも遠くではわからないヒミツも発見できるのがツアーの醍醐味だ。

■「駐機場」ではさらに間近から…パイロットが手を振り返してくれることも

 再びバスに乗車して向かったのは、乗客が乗り降りしたり、貨物を積み下ろしたりする駐機場だ。

4.「駐機場」

高橋さん:
「今どこに来たかと言うと、まもなく国際線の駐機場に入っていきます。デルタ航空でございますが、こちら、エアバス350型機です」

ここでも目の前で飛行機が見ることができる。

高橋さん:
「エアバス350型機の特徴は、なんかちょっと目がタレ目。窓のところ見てください、狸顔しているのがかわいいんですよ。350は大きな飛行機です」

ここで、高橋さんからお客さんに提案があった。

高橋さん:
「重要なお願い。パイロットさんが乗っているはずなんですよ。手を振ってほしいの!そしたら、約束はしてないんですけど、振り返してくれるんですよ、よく」

パイロットとのコミュニケーションだ。これもツアーだからこそできる体験。手は振ってくれるのか?

高橋さん:
「こんにちは!パイロットさん、絶対いる!あっ、ほらほらほら!優しい。すごい手を振ってくれている!ありがとうございます!うれしいですね」

 盛り上がりを見せた滑走路見学はこうして終了。

男性:
「すごく説明が楽しくて、わかりやすくてよかったです」

男の子:
「いろんなところがいつも見れないけれど、今日は見れてよかったです」

女性:
「離陸のところが近くで見れたのが印象に残っています」

高橋さん:
「降りるときにみなさんが、楽しかったと言ってくれるのが、本当に私の励みで、そのために頑張っているようなものです。飛行機を見たいというお客さんのために続けていきたいですし、もし、コロナが広まってしまっても飛行機を見るという楽しみを差し上げたいと思います。セントレアは続けていくつもりなので、飛行機を見たいという方はぜひ、遊びに来ていただけたらと思います」

 ツアー代金は6980円(2歳以下 3000円)。中学生以上は身分証明が必要で手荷物検査もある。詳細はABC旅行センターのHPで確認することができる。