1ドル140円台と、24年ぶりの「超円安」水準が続く円相場。その影響は、愛知・尾張地方の伝統工芸にも及んでいました。

 先週、24年ぶりの円安水準となる1ドル140円台に下落した円相場。「超円安」が続く中、6日、通貨の両替を行う名古屋の店には、ドルを円に両替する人が訪れていました。

訪れた女性:
「少しはお小遣いになるかなと思って」

 岐阜県多治見市から訪れた女性は、数年前に夫と海外旅行に行くために準備したドル紙幣、2900ドルほどを持ち込んでいました。

訪れた女性:
「(1ドル)80円から88円くらいで換えたやつだから、儲かっていると思う」

 両替した当時は26万円ほどだった「円」が40万円に。14万円も増えていました。

訪れた女性:
「ちょっとお小遣いで楽しんで、携帯をかえたいと思っているので」

「超円安」の恩恵を受ける人がいる一方、愛知県の伝統工芸が大きなあおりを受けていました。

 尾張地方の伝統工芸・七宝焼。津島市にある「太田七宝」では、ブローチなどのアクセサリーや花瓶などを作っています。

【動画で見る】1ドル140円台…24年ぶり“超円安”に悲喜こもごも 伝統工芸の“校章”は「作れば作るほど赤字」も

太田七宝の6代目:
「土台が銅なんです。これは純銀線で、こういうリボン状の線で模様をつけています」

 銅や銀など金属の土台に釉薬(ゆうやく)をのせて作る七宝焼。この原材料に、円安の影響が大きく及んでいるといいます。

太田七宝の6代目:
「(金属は)すべて海外です。全部輸入品になるので、やっぱり円安でかなり価格は上がっていますね」

 銅や銀はメキシコやペルーなどからの輸入。さらに色をつける釉薬にも金属が含まれていて、円安の影響で仕入れ価格が上がっていました。

太田七宝の6代目:
「商品としても値上げになって…。今年に入ってかなり値上げしないと難しい状況になってきてしまったので」

 あまりの仕入れコストの上昇で値上げは避けられず、3000円〜5000円の値上げをした商品もありました。しかし、簡単に値上げができない事情もあるそうです。

太田七宝の6代目:
「これは学校の校章類。学校は何十円の値上げというのは毎年のものなので難しくて。ほとんど同じ値段で今まできているので、急に何十円もあげるのということが難しくて」

 津島市や名古屋市など、およそ100校の校章を作製している「太田七宝」。円安で高騰したコストを補うには、校章1つあたり30円から50円ほどの値上げが必要ですが、急な値上げは難しく、10円から20円ほどしか上げられていないといいます。

太田七宝の6代目:
「作れば作るほど赤字になっていくので。子供たちが(校章で)七宝焼というものを多分初めて手にする子も多いので、これはもうちょっと無理してでも守っていきたいものですね」