岐阜県下呂市に、利用客が自分たちで開拓するユニークなキャンプ場があります。プロゴルファーやYouTuberも集まるキャンプ場の魅力を探りました。

 岐阜県下呂市。温泉街から車で30分ほどの山奥にある「火打(ひうち)の森キャンプ場」。

東京や大阪からもキャンパーが訪れ、「予約が取りづらいキャンプ場」とも言われています。

【動画で見る】プロゴルファーやYouTuberも…なぜ岐阜の山奥にある『みんなで作るキャンプ場』に人が集まるのか

利用客:
「1人でも全然寂しくないような感じ。夜も星が結構キレイに見えたりとかして、周りの川の流れの音とかもすごくよく聞き取れる」

別の利用客:
「これは瓦チップ。水はけもいいし、見た目が夜とかだとランタンで赤いのが、非日常的な空間が感じられる」

 9つあるキャンプサイトに敷かれているのは、瓦を砕いた「瓦チップ」。

雨が降ってもぬかるみを心配しなくていいうえに、温かい色あいで写真映えもします。

利用客:
「ここしか利用してないですね」

別の利用客
「また来ようかっていう話もしていまして」

 キャンパーたちの心をがっちり掴んでいるのには、ある秘密がありました。10月1日、キャンプ場で行われていたのは整備工事。

作業をしていたのはボランティアで、仕事を手伝えば無料でキャンプ場が利用でき、ご飯もふるまわれます。

この日は19人もの常連客が集まりました。職業を聞いてみると、パートタイマーや接客業、そしてツアーで優勝経験のあるプロゴルファーまでいました。

バラエティに富んでいますが作業はほぼ素人。なぜ工事を業者に依頼しないのでしょうか。

火打の森キャンプ場のオーナーの今井さん:
「最初は個人的に来た人が『手伝いますよ』って。それが大きくなってみんなでやるようになりました。せっかく『やりたい』という人がいるので、素人ながらにやってみる」

この地域で生まれ育ったオーナーの今井さん。地元を盛り上げようとキャンプ場づくりを始めたところ、次第にキャンプ好きの輪が広がり、みんなで作るキャンプ場になったといいます。

作業では、プライベートな空間を演出する柵を立てたり、キャンパーに大好評の瓦チップも、テントが立てやすく水はけがいい量に調節したりするなど、キャンパーの目線が生かされていました。

参加者:
「自分らが作ったところにまた泊まれるのが、思い入れもあって楽しいかなと思う」

別の参加者:
「子供の職業体験じゃないけど、普段しないことができるのが楽しいですよね」

 キャンプ場開拓を楽しむ皆さん。その中には…。

三好さん:
「25回ぐらいずっと来ていて。YouTubeで撮ってみんなに発信して。底辺YouTuberです、全然登録者いないので」

「けーきゃんクラフト」という名前で活動する三好康太さん(31)。

本業は病院で働く作業療法士ですが、キャンプ系YouTuberを目指す中で、このキャンプ場と出会い魅力を発信。視聴者が訪れるようにもなったといいます。

三好さん:
「キャンパーとして、こんな素敵なキャンプ場ないわって思ったぐらい。ここで働きたいぐらいの気持ちなんで」

今井オーナー:
「小さいときはこの谷で遊んだりもしていました。地元に他県からみんな来てくれるのはすごく楽しいし、もうちょっといろいろ賑わえば、地元の古民家も活用したりできたらいいかなとも思っています」

この日は、新たなサイトと柵が完成しました。

参加者:
「楽しかったです。自分が作ったサイトに今度泊まれるから。『ここ私がやったとこだ』と思うと余計楽しい」

参加者:
「今日初めて知った人ばかり、8割方そうですね。そういう人たちと交流が深まるのは楽しいなと思いますね」

みんなで作るキャンプ場は、キャンパーの心をがっちり掴んでいました。

今井オーナー:
「楽しんでもらえるのが一番いいですね。いろんな人が絡んで、みんな仲良くなって、また来てくれるんですよね。また皆さんに手伝ってもらって、一緒に作り上げていこうかなと思っています」