名古屋を中心に活動する『Shine4ever(シャイン・フォーエバー)』は、子育てや仕事など日々の生活を送りながら活動する、「アラフォー」のアイドルグループだ。ダンスの稽古にライブ、宣伝活動まで精力的に行う。なぜアラフォーでアイドルになったのか。

■五十肩が悩み…名古屋拠点のアラフォーアイドル「自分の人生を生きたい」

 屋外の音楽イベント。ロックバンドなどが会場を盛り上げる中、ひと際、異彩を放っているグループがあった。

【動画で見る】練習中に痛み「五十肩が…」日々の生活送りながら輝く“アラフォーアイドル”たち「亡くなった主人の分まで」

メンバーのリーさん:
「アラフォーアイドルしています『Shine4ever(シャイン・フォーエバー)』です」

2016年にデビュー、名古屋を拠点に活動する「Shine4ever」。

コンセプトは「いくつになっても輝こう」。これまでにアルバムを2枚、シングル30曲以上を発表している。

Q.年齢は?

リーさん:「ファンタジーで(笑)」

チェリーさん:「ファンタジーでお願いします」

「アラフォーアイドル」と言いながら、年齢は“ファンタジー”。メンバーは9人だが、それぞれ家庭や仕事があるため、週1度の練習にも全員が集まることはない。

アラフォーだけに、年相応の悩みもある。

チェリーさん:「肩痛いの?」

チョコさん:「五十肩が…」

チェリーさん:「それはキツイね。肩痛い時やるのキツいね」

チョコさん:「しかも、左が治ったなと思ったら、今度右に来て…」

チェリーさん:「片方ずつ来るよね」

チョコさん:「そうなんだ」

 グループのリーダー・チョコこと寺本陽子(てらもと・ようこ)さん。

寺本さん:
「もともと人と違うことがしたいんですよね。目立ちたいのもあったし。小さい時から目立ちたがり屋だったので」

10年ほど前にアイドル活動をしていたが、グループが解散。名古屋で新たにアラフォーアイドルを立ち上げた。

寺本さん:
「結婚して出産してってなってくると、社会と繋がってないじゃないですか。もちろんパートとかにも行ったんですけど、なんか取り残されている感じっていうか…。子供の親、お母さんとしか接点が無くて、子供の話しかしないし。自分の人生を生きたいなって」

■ネイリストの女性は悩んだ末の決断 難病で死別した夫に「言われているような気が」

「自分の人生を生きたい」そんな思いからアラフォーアイドルになったのは、リーダーだけではない。普段はネイリストとして働く、チェリーこと渡辺貴利子(わたなべ・きりこ)さん。

グループ最年長の渡辺さんは、元々アイドルを目指していたわけではなかった。

渡辺さん:
「フェイスブックの投稿で『ダンスレッスン楽しいな』っていう投稿があって、ダンスサークルかと思って見学に。アイドルって話も出たんですけど、それはひとつの表現だと思って、アイドルみたいにやるんだなって思って、どんどん本格的な活動になっていって、ジェットコースターに乗せられたみたいに進んでいった」

アイドルの活動を受け入れるのに1年かかったと言う。それでも、やると決めたらそこはアイドル。選ぶ服にも変化が現れた。

渡辺さん:
「これはフリフリなので、やりすぎじゃないかなって思ったけど、アイドルはそれぐらいでちょうどいい。それぐらいしないとやっぱり」

 突然の母親のアイドルデビューに、息子たちは…。

渡辺さんの次男(33):
「聞いた時は『何やってんだろうな』と思って、ちょっと引いてました。見ているのが恥ずかしいですよね。応援はしているんですけど」

長男(36):
「明るい時の方が増えたんじゃないかなとは思いますけど。介護の時は、さすがに大変そうだったので」

渡辺さんはデビュー前に、夫の俊彦さん(享年61)を病気で亡くしていた。

渡辺さん:
「2015年8月に亡くなっています。病気で5年間闘病して」

渡辺さん:
「筋萎縮性側索硬化症=ALSっていう、だんだん身体が不自由になっていく病気です。今の医療では手立てが、治療方法が無いってことも分かるし、うつ病みたいになっちゃったりとか…。本人は相当苦しかったと思います」

グループへの加入を誘われた時には、まだ夫の死後1年しか経っていなかったため、悩んだというが…。

渡辺さん:
「(夫に)『あなたは今からやりたいことがやれるんだから、やってみなさいよ』って言われているような気がして。諦めちゃっている人が多いので、年齢とか。『もう私なんか』みたいな気持ちの人が多いので、『そんなことないよ!』って、『私たちでもやってるよ!』みたいな、そういうことをアピールし続けたいですね」

■駆け寄り名刺配りも…ファン増やすために定期ライブやSNS配信など貪欲に活動

 月に1度、名古屋市中区栄で開催している定期ライブ。会場の準備も自分たちで行っている。

大勢のお客さんが集まったが、リーダーの寺本さんはまだまだ満足していない。

寺本さん:
「『私たちを見たい!』って自主的に来てくれる人たちが多くなればいいなと思いますね。こっちから声かけているので」

記者:
「営業じゃないですけど、声かけて?」

寺本さん:
「します、します。すごくしてます。現実は厳しいですよ」

 ファンを増やしたいと、若い人たちの目にも留まるよう新たにSNSも開設。

定期的にイベントスペースを借りて、ライブ配信を始めた。

メンバー3人(ライブ配信):
「私たち、アラフォーアイドル、Shine4everです!シャキーン!」

トークや即興ライブのほか、通りすがりの人たちに名刺を配って果敢に営業も…。

渡辺さん:
「(走って近付く)すいませーん!名刺もらってください。名古屋で唯一、アラフォーアイドルShine4everです」

渡辺さん:
「戸惑われる方もいるけど、でもそんなこと気にしていたらやれないので」

声をかけられた男性:
「妻がやっていたらどうかなって思いますけど…。いま何が流行るか分からないので、こういうのはいいんじゃないのかなと思います」

■今日が人生で一番若い日…アラフォーアイドルが歌い続ける“いくつになっても輝ける”

 結成から2022年で7年のアラフォーアイドル「Shine4ever」。メンバーは自分たちの変化を口にする。

エリーさん:
「心が強くなりました。自信がついたというか。自分を出すことができるようになったことが、めちゃくちゃ嬉しいです」

アンジュさん:
「(以前は)結構ネガティブ強かったんですけど、皆さんのおかげで、常に笑顔ができるようには前よりはなりましたね」

リーさん:
「女性の背中を押したい。私たちも輝いているから、みんなも自分ももっと輝けるんじゃないかなって思ってもらいたい」

寺本さん:
「本当は、ある程度の年齢いったら辞めようかなと思っていたんですけど、やっぱり楽しいしファンもいるし。いけるところまでいきたいと思います」

渡辺さん:
「人生、何があるか分かったもんじゃないですね。(夫は)どうかな?喜ぶより呆れるかもしれないですね。やれやれみたいに。今のところこれが生きがいかな。いつまで続くか分かんないですけど」

「今日より若い日は 2度と 来ない 今日と同じ時は 2度と 来ない」(Shine4ever「All together 限界越えよ!」より)

今日が人生で一番若い日…。人はいくつになっても輝くことができる、彼女たちはそう歌い続ける。