性感染症の「梅毒」、去年は全国で初めて1万人を超えるなど急増していて、東海3県でも過去最多を更新しています。その背景とは…。

 22年12月、名古屋市中区の池田公園。その一角に、ひと際目立つピンクのテントがありました。

丹羽医師:
「ホストクラブってさ、若い子ばっかりでしょ?」

18歳女性:
「楽しいですよ」

忌憚のない話をするのは、18歳の女性と、名古屋にある咲江レディスクリニックの丹羽咲江医師です。

【動画で見る】キスなどで感染することも…性感染症『梅毒』の感染者が急増中 医師「不特定多数の人と性交しないのが一番」

ここは若い女性の家庭や性など様々な相談にのる「街角保健室」。市内の医師や保健体育の教師らが立ち上げ、月に2度開かれています。

丹羽医師:
「病気は誰からもらったの?」

18歳女性:
「たぶんホスト…誰か分かんない」

丹羽医師:
「もっといいものくれよって」

3度目の訪問だった女性の相談内容は「性病」。こうした相談は若い女性を中心に多いうえ、今その傾向に変化が出てきているといいます。

丹羽医師:
「一般的にはやっぱりクラミジアっていうのが昔から断トツ多いんですよね、だけど最近では、巷で言われている梅毒の増加というのがあって」

 細菌性の性感染症・梅毒。

東海3県でも年々増加し、2022年の感染者数は976人と前の年の1.7倍になっています。

全国ではおよそ1万3000人と、いずれも1999年以降、過去最多となっています。

Q.去年から梅毒が増えていますが?

20代女性:
「知らない」

別の20代女性:
「知ってます。聞きました、風俗やっている友達から。流行っているから怖いよみたいな」

丹羽医師:
「性行為が主なんですけれども、それ以外にも皮膚や粘膜からも感染します。コンドームをつけていれば、より感染は予防できますけども、万全ではないという状況ですね」

キスなどでも感染することがあるという梅毒。

感染すると性器や口にしこり、体に発疹が広がることもあります。

早期の治療で完治しますが、長期間放置すれば臓器などが深刻な症状になることもあるほか、妊婦が感染すると流産や死産のリスクが高まるとされています。

20代女性ら:
「梅毒だったらどうしよう?」
「でも梅毒だったらもうちょっと症状でますよね?」

丹羽医師:
「でも、ざーって瞬間だけ発疹だけ出て、分からんよ」

20代女性:
「治っちゃうんですか?性病自体は治ってないけど発疹はおさまるみたいな?」

無症状や痛みがない場合もあり、気付かないうちに感染させるケースも多いと言います。

丹羽医師:
「女性の場合だと20代がやっぱり多い。SNSで知りあって、それでこう広がるとか。パパ活をやっている子とかもいるので、そういったところから感染するとか、という事が多いのかなと思います」

2022年の愛知県の感染者を年代別に見ると、男性が20代から50代に多いのに対し、女性は20代が突出して多くおよそ6割を占めています。

マッチングアプリやSNSで知り合った不特定多数の人との性行為も、急拡大の要因の1つとみられています。

丹羽医師:
「不特定多数の人と性交しないというのが一番大切なことなんですけど。(疑わしい場合は)一刻も早く病院に受診された方がいいと思います」

※画像は「日本性感染症学会」提供