トヨタ自動車は1月26日、豊田章男社長が会長に就き、後任の社長に佐藤恒治執行役員が就任する人事を発表しましたが、そのライブ配信中にちょっとしたハプニングがありました。

豊田章男社長:
「新会長に私、豊田章男が、新社長に佐藤恒治が就任することを決定いたしました。若いということは、それだけで大きな魅力だと思います」

 1月26日、トヨタ自動車の豊田章男(とよだ・あきお)社長が会見を開き、自身は3月いっぱいで退任し、4月1日付で新社長に佐藤恒治(さとう・こうじ)執行役員が就任する人事を発表しました。

 豊田社長は佐藤氏について「車が大好きで、車づくりの現場で必死に努力をしてきた」と紹介し、「トヨタをモビリティカンパニーにフルモデルチェンジすること」を期待すると話しています。

 今回の記者会見はトヨタのYouTube公式チャンネルでライブ配信されましたが、その中でハプニングと思われることが起こりました。

佐藤恒治氏:
「車屋にしか作れないモビリティの未来に一歩でも近づけるよう、がむしゃらに取り組んでまいります」

【動画で見る】声漏れは豊田社長の“ミス風演出”?…トヨタ新社長発表のライブ配信 評論家「章男さんは『本音が一番大事』と」

 やや緊張の面持ちで佐藤氏が決意を表明し、出演者が頭を下げて1時間半にわたるライブ配信が終了。ハプニングはこの後、配信終了のテロップが出たところで起こりました。

<スタッフ>
「以上、終了です」

<豊田章男社長>
「最後、笑顔が欲しかったね~」

<佐藤氏ら>
「はっはっはっは(笑)」

 マイクの切り忘れなのか、配信終了直後の音声が聞こえる状態に。その内容を聞くと…。

<豊田章男社長>
「最後、笑顔が欲しかったね~」

<佐藤氏ら>
「はっはっはっは(笑)」

<豊田章男社長>
「最後、笑顔で言ったらパーフェクトだったね」

<佐藤氏>
「緊張した~」

<内山田竹志会長>
「決意って言ったからね」

<豊田章男社長>
「決意って言ったからな~」

<佐藤氏>
「ちょっと力入っちゃいました」

<豊田章男社長>
「入ったね~」

<佐藤氏ら>
「はっはっはっは(笑)」

 豊田社長と佐藤氏の会話のようです。普段の人柄が伝わるような内容に、インターネット上では「いい印象」「好感度が上がった」といった反応がありました。

 ただ、トヨタを取材して40年以上の自動車評論家、国沢光宏(くにさわ・みつひろ)さんは違う見方です。

国沢さん:
「まあ“やったな”という風に思いましたけど。“ミス風”なんじゃないでしょうかね」

 豊田社長・佐藤次期社長とフェイスブックで友達にもなっている国沢さんは、意図的に音声を流したのではといいます。

国沢さん:
「佐藤さんという新しい社長は、普段あんな硬い感じの人じゃないんですよ。とても気さくな人なんですね。ところがあの会見が始まったらもうめちゃくちゃ硬くて、今まで見たことがないぐらい硬い佐藤さんだったんです」

国沢さん:
「恐らく(音声が入っていたことを)佐藤さんは知らなかったと思います。知っていたのは多分、豊田章男さんとスタッフか、そんな感じだと思います。だからすごくやらせな感じじゃなくて、とっても自然でしたよね」

 そこには、ある狙いがあったのではないかとも指摘しました。

国沢さん:
「豊田章男さんは、アメリカで車の問題が出た時に公聴会に出て、色々厳しい思いをしたんです。その時に、やはり『本音が一番大事』だと(言っていた)。どんな人が車を作っているのか、どんな人が車を売っているのかということを分かってもらうのが一番いいんじゃないかと。佐藤さんもそういう風にして育てていきたいと思ったんじゃないでしょうかね」

 緊張していた佐藤さんの素の部分を垣間見せ、その人柄、いわゆる本音の部分を皆に伝えたいという豊田章男社長の演出ではないかと、国沢さんは分析しています。

2023年2月3日放送