「昭和レトロ」な家具がブームになっている。愛知県小牧市のリサイクルショップは、デザインを懐かしいと感じる中高年から新鮮に感じる若者まで、幅広い世代の客で賑わっている。

■昭和レトロな品が所狭しと並ぶリサイクルショップ 週末には行列も

 懐かしい「昭和レトロ」と呼ばれる時計や家具、おもちゃなどが今、人気になっている。反応は世代によって様々だ。

若い女性
「カワイイ、色がカワイイ」

若い女性の母親:
「私は懐かしい」

【画像で見る】平成生まれ「オシャレすぎる…」“昭和レトロ”の品であふれるリサイクル店

平成生まれの男性:
「メチャクチャ良いやん、カッコいいやん」

平成生まれの男性:
「懐かしいっていう世代ではないので。昔のものが単純にカッコいいっていうのはあります」

男性と一緒に来た女性:
「ワクワクするよね、入った瞬間から」

愛知県小牧市のリサイクルショップ「RE-SQUARE BANUL(リ・スクエア バナル)」には、昭和レトロな商品が3000点以上並ぶ。

週末やイベント開催時には、行列ができるほどの盛況ぶりだ。

店を立ち上げた若山陽一郎(わかやま・よういちろう)さんに店内を案内してもらった。

まず目についたのは、天井から吊り下げるタイプの照明器具だ。

リポーター:
「スイッチでON・OFFするんじゃなくて、(ひもを引っ張って)カチャンカチャンってやる…これ、おじいちゃん、おばあちゃん家にありました」

レトロな「ペンダントライト」は5500円だ。

次に目を引いたのは、淡い色彩の花柄があしらわれたチェスト。

リポーター:
「これ見て、『なんだか懐かしい!』ってなりました」

レトロなチェストも5500円。

平成生まれのリポーターが「何かわからない」平たい円筒状の日用品は…。

リポーター:
「このカラフルな…これは何ですか?」

若山さん:
「これは今見ないんですけど、水筒ですね。昔は子供たちはこういう水筒をみんな持っていたんですね」

丸型でコップが付いた水筒は880円。

初めて見たという平成生まれのリポーターは、「飲み口が大きい」と驚いた。

■昭和レトロは意外とカラフル 理由は高度経済成長期の「海外からの影響」

 昭和レトロな商品には、カラフルなものが多い。

若山さん:
「昭和40年代とか50年代っていうのは、特にこういったカラフルなものがすごく多いですね。高度経済成長期の時に、海外からのいろんな影響を受けているんですよね。なので、デザインがアメリカンチックなものが、多く日本で製造されていたっていう…。なので、カラフルなものがすごく多いですね」

他にも、「レトロ買い物カゴ」(3300円)や…。

雑誌の付録についていた「ソノシート(赤円盤)」(110円)。

昭和世代には懐かしいものがいっぱいだ。

「黒電話」(4400円)。

特に人気があるのは「グラス」だ。

「カクテルグラス」(275円)。

若山さん:
「アイスクリーム入れて食べるだけで、なんかお洒落な感じしますよね。10代の子だと、これが僕らの思う『懐かしい』ではなく『新しい!何これカワイイ!』っていう発想になるんです、みなさん。例えば、こういうボタン一つとっても、昭和の服に付いていたボタンをお客様はもういらないって言って最初は捨てられようとしたんですけど、買い取って一個一個取ってボタンにすると好んで買ってくださるお客さんがいたりとか…」

1つ33円で販売している「ボタン」は、カラフルさを生かしてペンダントやイヤリングにして楽しむ10代が多いという。

「昭和レトロ」は、世代によって懐かしさを感じる人もいれば、カワイくて新しいと感じたりする若い人もいる。

「キューピー人形」(990円)。

「アンティークボックス」(3850円)。

「引き出し棚」(6600円)。

■「なるべくそのままの状態で」買い取った商品は徹底的にクリーニングし「新しい命を吹き込む」

 この店のコンセプトは『新しい命を吹き込む』。

若山さん:
「例えばこういった家具ひとつとっても、お客さんが使わないから古いから捨てたいと言ったものなんですけど、最低でも50~60年経っているものなんですね。100年近くのものもあると思うんですけど、良い天然の木を使っているので曲がらないですし、傷一個一個が“味”に変わっていくように見えませんか。僕は、傷とか汚れが一つのデザインだと思って、スタッフみんなで一個一個見て、『わーこれかわいいね、カッコいいね』って言って、キャーキャー言いながらやっているんですけど…」

倉庫も案内してもらった。

若山さん:
「おじいちゃんおばあちゃんのお家みたいなところから依頼があって、当然最初の依頼は『これを処分したい』という依頼なんですけど、僕たちが行って、『これ買取りできます』ってことを言うと、お客さんは結構驚きますね」

走り書きで「ふじ」と書かれたリンゴ箱も買い取ったものだ。

若山さん:
「状況とか依頼される個数によって多少変わるんですけど、こういったものですと100~200円くらいで買い取りをさせていただいて、僕たちがこのまま売る場合もありますし、色塗ってリメイクして売る場合もある」

なるべくリメイクせずそのままで販売したいと考え、買い取り後は「クリーニング」が中心だ。

傷などの修理は、あえて最小限にする。その代わり、ホコリを取ったりガラス部分を磨いたり、クリーニングは一つ一つ徹底的に行う。

数十年眠っていた昭和の品々に、新たな価値が生まれる。

■“SDGs”の時代に「昭和レトロ」で地球環境の改善を

 店を訪れた若者は、傷や汚れに魅力を感じていた。

平成生まれの男性:
「これは汚れがカッコよく見えるもんな。何十年前に作られたイスって貴重だし…」

一緒に来た女性:
「歴史があると思うともっと大事にしようって思うし、もし買ったら」

2人は、新居に飾るものを探しに来ていた。

平成生まれの男性:
「おそらく花瓶だと思いますけど、ダイニングテーブルの真ん中に花を挿して」

Q灰皿では?
平成生まれの男性:
「僕も思いました。灰皿かなと思ったんですけど、灰皿にしてはオシャレすぎるかなって。(新しい家に)連れていきます」

年配の男性は、自宅の一室に飾る品を探しに来ていた。

年配の男性:
「子供がみんな出ていっちゃったから、子供部屋が空いているじゃないですか。部屋を飾るっていうのが僕の好みなので、部屋を昭和レトロにしたりだとかいう風に自分は考えてるんだけどね」

母娘で来た2人が選んだのは、徳利と猪口。

母親:
「家族が6人なので、この6個。お猪口はおかずを…」

娘:
「これ(徳利)はお花を入れようかなと思って」

若山さん:
「SDGsっていうのがテーマになっている世の中なので、モノを大切に使っていくことが人に優しくしていくきっかけになるし、地球環境を良くしていくことにもつながっていくと僕たちは思っているので、(昭和レトロの)商品を提供しながら、そういった考え方、文化を創っていけたらいいなと思っています」

リサイクルショップ「RE-SQUARE BANUL」は毎週土・日・月は午前11時~午後6時、金は午後6時~午後9時で営業している。

2022年11月22日放送