いらなくなった物を捨てるのではなく、欲しいと思う誰かの下へ。物価高への対応だけでなく、「SDGs」を意識してリユース店を利用する人が増えている。「セカンドストリート」の名古屋の店舗を取材した。

■「スノボの板550円」「子供用コートが440円」リユース店で高コスパの買い物を楽しむ人たち

 名古屋市名東区の「セカンドストリート高針原店」。

【動画で見る】誰かの“不要”が誰かの“必要”に…リユース店が映し出す人間模様 失いかけた明るさ取り戻した「宝探し」

店内には電化製品に…。

高級ブランドのバッグ。

服やアウトドア用品など、様々な物が並ぶ。

「セカスト」はいま流行りのリユース店で、商品のほとんどが中古品だ。

買い物に来た客に話を聞いた。

男性客(25・配達ドライバー):
「新品にはない良さみたいなのがあると思います。アツいっすね~、結構安かったりするので」

男性客(51・会社員):
「色んな物が集まっているじゃないですか。面白い物、掘り出し物があったりだとか」

男性客(41・小学校教諭):
「今日は妻の(スノーボードの)板を、安いのがないかなって思ったら、かなり格安の板があったので、これいいやって思って」

そのスノーボードは、いくらなのか。

男性客(41・小学校教諭):
「金額がすごく安かったので。税抜で500円なので、これは買っても損なしかなって思って」

税抜500円と、値打ちな価格だ。

男性客(41・小学校教諭):
「『また買ってきたの?』って言われそうですけど。ここで何か買って、安い値段で伝えると、『えーそんなに安いの』って喜んでくれるので、それも楽しみの1つかな」

洋服のコーナーには、コートを選ぶ母親と娘の姉妹がいた。

妹:
「黒がいい。ここのヒラヒラがちょっと」

母:
「嫌だ?そっか、フフフ」

妹は小学6年生、おしゃれを楽しみたい年頃だ。

リユース店の商品は種類豊富だが、気に入ったデザインに自分のサイズがあるとは限らない。

30分探して、買う品を決めた。

妹:
「これがいい」

母:
「ちょっと大きいかな、やっぱり」

姉:
「すぐデカくなるよ」

母:
「でも、これかわいいよね」

妹:
「これにする」

母:
「よかった、決まった!」

選んだのは、大人っぽい黒のコート。440円で買うことができた。

Q.黒が良かった?
妹:
「派手なのが嫌いなので…」

母:
「本人が気に入った物じゃないと着ないので、よかったです」

このコートは、その後出かけた家族旅行で大活躍したという。

すっかり気に入ったようだ。

■別の店で引き取ってくれなかった物も… チャイルドシートは「ニワトリのおもちゃ」に

 リユース店は「買う場所」であると同時に「売る場所」でもある。

男性客(45・会社員):
「子供のチャイルドシートを売りに来ました。もう処分しなきゃいけないなって思って、年末年始にいらなくなった物をずっと整理していました」

息子たちと来店した男性は、使わなくなったチャイルドシートの買取りを依頼しに店を訪れた。

男性客(45・会社員):
「一応売れましたね。600円でした。別のところでは引き取りもできないって言われたので、こちらで引き取ってもらえただけでも助かりました。(このお金で)子供たちのおもちゃとか見て…」

売れたお金で、新たな買い物をする。

息子(6):
「これ!」

6歳の息子が選んだのは、ニワトリのおもちゃだ。

店員:
「お待たせしました、200円です」

男性客(45・会社員):
「200円なら購入するか。チャイルドシートがニワトリに化けましたね…」

このニワトリのおもちゃは、好きなYouTuberが使っていたという。

■洋服28着はいくらに?「あまりいい物がない」という衣料品に予想を超える金額

 洋服を売りに来たというカップルにも話を聞いた。

男性(23・会社員)
「洋服が段ボールパンパンに。30着くらいありますかね」

全部でいくらになりそうか、予想してもらった。

男性(23・会社員):
「あまりいい物がないので、まぁ…」

女性(23・ショップ店員):
「5000円くらい?」

男性(23・会社員):
「5000円になれば」

そして、査定を待つ。

男性(23・会社員):
「5000円は高すぎましたかね。レベル上げすぎました」

女性(23・ショップ店員):
「いや、いってるはず」

弱気な彼氏に、強気な彼女。査定の結果は…。

店員:
「見積もりの金額がこちらになります」

女性(23・ショップ店員):
「イエーイ!」

男性(23・会社員):
「うわ、高っけ!」

28点で8435円になった。

女性(23・ショップ店員):
「やりました!嬉しすぎる。だいぶ上行きましたね。ずっとこの人2000円、2000円って言っていたんですけど」

男性(23・会社員):
「これで晩御飯ですね」

女性(23・ショップ店員):
「美味しいもの食べに行きます」

男性(23・会社員):
「なに行く?」

女性(23・ショップ店員):
「焼き肉?」

男性(23・会社員):
「焼き肉ですね」

断捨離で、少し財布も温まったようだ。

■セカストに出会い「おしゃれ諦めなくていいんだ」…新型コロナの後遺症で歩行困難になった女性

 名古屋市で占い師をしているという女性客がいた。柴田葵(しばた・あおい 36)さんは、2年前からリユース店が大好きになったという。

柴田葵さん(36・占い師):
「セーターとかアウターを探しに来ました。セカンドストリートはマニアなくらい通っています」

柴田さん:
「この帽子もこのアウターもこのバッグも、全部セカンドストリートで買ったやつ。(帽子は)300円、(バッグは)1600円、(ニットは)500円。めっちゃ品物いいなってなって、宝さがし気分で来るようになっちゃって」

リユース店での買い物は「宝探し」だという。

柴田さん:
「赤のチェックを探していて、見つけました。地味目のチェックが多い中で、ドンピシャのを見つけました。買いですね、これはもうぜったい買います。これ500円なので」

この日も掘り出し物を発見したようだ。

柴田さん:
「買っちゃいました。また、運命の出会いがありました」

後日、柴田さんの自宅を訪ね、リユース店で買った商品を見せてもらった。

柴田さん:
「基本的に、ここに置いてあるのはセカンドストリートで買った物です」

柴田さん:
「夏服とかしまっちゃったので、その分を入れたらもっとあるんですけど、今年(2023年)の1月2日もまたセール行ってきて、このコートはその時ゲットしました」

洋服だけではない。

柴田さん:
「このスタンドもそうですね、これは1000円でした。このコテもセカンドストリートで700円」

帽子や靴、バッグなど、家中の至る所に、リユース商品があった。

柴田さん:
「新型コロナに感染したんですけど、そのあとコロナ後遺症になって、(リユース店での取材時には)杖ついて歩いていたと思うんですけど、身体障害者になっちゃったんですよ」

2年前に新型コロナに感染し、後遺症で以前のように歩くことは困難になってしまったという。

柴田さん:
「病院代もすごくかかるし、収入が目減りしていく中で、そんな時にセカンドストリートに出会ったんですよ。なんか『まだおしゃれを諦めなくていいんだ』って思って、そこからもうハマってハマって、買い集めちゃいました」

おしゃれが大好きだった柴田さん。コロナのせいで失いかけた明るさを、リユース店での「宝探し」で取り戻した。

柴田さん:
「楽しみのひとつとしてセカンドストリートに会えたのは、本当に良かったかなって思っています。楽しみを見つけてからは、なんかお洋服着て出かけられるように、コンディション整えようかとか、前向きに考えさせてもらえるようになったなと思いました」

■売却に来た男性「捨てる罪悪感無くしてくれる」…リユース店に溢れる“物を大切にする”思い

 夫婦で来た客は、リユース店を利用して物価の高騰に賢く対処していた。

妻(20代):
「ミシンを買いに来ました。子供の幼稚園の用品を造るのに必要で」

夫(20代):
「(新品より)一度セカスト来て中古見てから、じゃあこっちで買おうって。コストも抑えて買い物できるので、だいぶ助かってはいます」

転勤で引っ越すという男性は、自分にとって要らなくなった物でも捨ててしまうよりはと、店を訪れた。

男性客(36・製造業):
「いろいろ整理する中で、売れそうなのはどんどん売りに来ている。捨てるのって罪悪感があるから、罪悪感をなくしてくれるっていうか、後ろめたさを消してくれるっていうのはありがたいですよね」

誰かの「不要」が、誰かの「欲しい」に。リユース店には、物を大切にする人々の思いが溢れていた。

2023年1月9日放送