4月1日から法律が改正され、自転車を乗る際のヘルメットの着用が「努力義務」になります。街では戸惑いの声が聞かれましたが、自転車用品店ではカジュアルなデザインを中心にヘルメットの売れ行きが伸びています。

 自転車が行き交う名古屋市中心部の幹線道路。大半の人がヘルメットを着けないまま自転車を運転しています。

 愛知県では2021年10月から、条例で自転車を乗る際にヘルメットの着用が努力義務化されています。ところが1時間定点観測したところ、着けている人はわずか8%でした。

 事故などで転倒すると、命の危険もある自転車。警察庁によると、自転車事故の際、ヘルメットを被らなかった人は被っていた人に比べ、致死率が3倍にのぼります。

【動画で見る】4月から全国どこでも…自転車のヘルメット着用が「努力義務化」 罰則はないものの店では人気商品が品薄に

 愛知県では、2022年に自転車の事故で亡くなった人の半数以上が頭に致命傷を負っていました。

 道路交通法が改正され、4月からは全国どこでも自転車に乗る人は全員ヘルメット着用が努力義務化されます。

 ただし努力義務で、ヘルメットを着けてなくても罰則はありません。

男性:
「やった方がいいかなと思うんですけど、毎日乗るものじゃないので」

女性:
「安全面では被った方がいいかなというのはもちろんあるんですけど、(ヘルメットを被って)乗っている自分を想像した時に、ちょっと恥ずかしいなって思います」

別の女性:
「マスクをみんなが取るとか着けるとかっていうのも、周りの方が雰囲気を見ながら決めているのと同じような感覚で」

 着用が努力義務になることは知ってはいるものの、実際にヘルメットを着けることをためらっている人も多いようです。

 名古屋市中区の自転車用品店「ワイズロード名古屋ウェア館」を訪ねました。

店長:
「めちゃくちゃ売れています。もう本当に、去年の同じ時期と比べても1.5倍以上は売れています」

 店ではヘルメットの駆け込み需要があるといいます。春の入学シーズンに合わせて自転車通学のために購入する学生が多いほか、法改正を前に、従業員が業務で自転車に乗る企業からの問い合わせも増えているそうです。

 売れ筋のヘルメットについて聞きました。

店長:
「つば付きのキャップみたいに被れるものですね。カジュアルに使いたいというニーズが非常に高いので、皆さんに人気ですね」

 まるでキャップのようなおしゃれなデザインのものが人気に。店頭の在庫がなくなり、メーカーからの取り寄せになっているものもあるそうです。

 ヘルメットの弱点を補うための商品もあります。「サイクルキャップ」は、被ることで髪型が崩れにくくなるほか、洗うこともできるため、汗をかきやすい季節でもヘルメットを着けやすくなると人気を集めています。

店長:
「事故を起こしてからでは遅いというところをやっぱり強く言いたいですね。自分自身を守る、大切な人を守るという意識をしっかり持ってもらって、ぜひヘルメットを着用していただきたいなと思っております」

 自転車のヘルメット着用「努力義務化」。利用者の意識が変わり、浸透することはできるのでしょうか。