2021年の衆院選で立憲民主党の候補者だった今井瑠々さんが、今回の岐阜県議選に多治見市選挙区から、無所属・自民党推薦で立候補しました。鞍替えに対する批判を跳ね返して、初当選を果たしました。

 2議席を新人3人で争った岐阜県議選・多治見市選挙区で初当選を果たした、無所属で自民党推薦の今井瑠々さん(27)。9日間の選挙戦を振り返りました。

今井瑠々氏:
「最初はたくさんお叱りのお言葉もいただきまして、そのお一人お一人の声にしっかりと向き合って、その上でそういったご批判の声も含めて、私今井瑠々、選挙を戦っていくという思いで戦いました」

 2021年10月の衆院選で、当時25歳だった今井さんは、立憲民主党の公認で多治見市や中津川市などからなる岐阜5区に立候補。大臣経験もある自民党のベテラン議員を相手に、およそ1万3500票差まで詰め寄る善戦を見せました。

【動画で見る】市民から「ガン無視」の声も…立憲から自民に鞍替えし岐阜県議選へ 初当選の今井瑠々氏「思いを県政に届ける」

 その後も街頭などで地道に活動を続け、立憲の関係者から「次こそは」と期待されていましたが、2023年1月、驚きの決断をしました。

今井瑠々氏(2023年1月):
「私今井瑠々は、1月7日に立憲民主党に離党届を提出し、この春行われる県議会議員選挙に無所属・自民党推薦で立候補することを、ここにご報告させていただきます」

 野田聖子衆院議員と並んで会見を開き、自民党の推薦を受けて岐阜県議選に立候補すると表明していました。

 突然の「鞍替え」に、批判が噴出しました。

渡辺元県連代表:
「これまで支援していただいた人を何と思っているんだろう。裏切り行為だということで、とても許せるものではない」

立憲民主党の泉代表:
「地方組織が弱いから出ていったとなれば、それはもう政治家としては不適格だと」

 街頭でも、厳しい声を浴びました。

男性:
「だいたいあなた(これまで)立憲でここでやっていて、お客さんの反応見て何か感じない?ガン無視されてるでしょ。それが市民の声だと思ってください」

 批判や反発は覚悟の上で臨んだ、今回の県議選。今井さんは立場を変えてでも、政治家になりたい理由を訴えました。

今井瑠々氏:
「政党のための政治じゃありません。この地域を若者の力で、そして高齢の皆さんの温かいご支援で、一緒になって変えていきませんか」

 選挙戦では有権者を見かければ駆け寄って、直接自分を売り込みました。

 多治見市内を文字通り駆け回る中で欠かせないのが、腹ごしらえです。この日は焼うどんを注文しました。

今井瑠々氏:
「麺類が好きなんですよ。今日ずっと楽しみにしてました」

 食事で気持ちもリセットしていた今井さんに、声をかける有権者がいました。

今井瑠々氏:
「ただ若くて女性で政治家になりたいだけなんじゃなくて、本当に頑張ってくれるかもしれないって思いが伝わり始めてるのかもしれないなと思います。次こそは負けられない、こんなに応援いただいて」

 今井さんの選挙戦を支えたのは党派ではなく、今井さんだから応援したいと集まった仲間たちです。

 2021年の衆院選に25歳で挑戦した今井さんのことを知り、選挙に関わるようになったという林愛佳さん(31)は、今回もSNSの運営などで今井さんをサポートしました。

林さん:
「立憲の瑠々ちゃんを応援しているんじゃなくて、瑠々ちゃん本人を応援して、今回党を変えたということに関して裏切り者とも思っていない」

 強い逆風があったからこそ、支えてくれる人のありがたみを感じながら走り切った9日間でした。

今井瑠々氏:
「皆さまに託していただいた1票1票を決して無駄にしないように、私今井瑠々、しっかりと県議会議員としての務めを果たしていきたいと思っております。本当に皆さまのおかげで当選ができました。本当にありがとうございます」

 当選から一夜明けた10日朝、今井さんの姿は多治見駅前にありました。

今井瑠々氏:
「子育て世代、若い世代からの反応が良かったかなというところはありますね。これまで皆さんに託していただいた思いを、しっかりとこれから県政に届けられるように頑張りたいということと、新しい多治見を創っていきたいなと思っております」