13日から14日にかけて行われた名人戦七番勝負の第3局。対局の地となった大阪府高槻市は、新たな「将棋のまち」として様々なPRを行っていました。

 最年少名人か、4連覇か…。伝統と格式のあるタイトル「名人」をかけた戦い。ここまで2連勝している藤井聡太六冠がタイトル獲得に王手をかけられるのか、注目の1局となりました。

 先手は巻き返したい渡辺明名人。1日目は「角換わり」の出だしでしたが、藤井六冠がこれを拒否、慎重に駒組みが行われました。

 対局の舞台は大阪府高槻市。名古屋からは京都経由で1時間ほどの場所で、新たな「将棋のまち」として注目されています。

 現在、関西将棋会館は大阪市にありますが、老朽化による建て替えが必要なため高槻市が誘致しました。

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 高槻市は江戸時代の武家屋敷の跡地から駒が出土されるなど将棋とは縁が深く、市内を走るバスには棋士のラッピングがされています。

 市のパンフレットには、渡辺名人の日常を描いた漫画「将棋の渡辺くん」のイラストも。

高槻市・将棋のまち推進課の課長:
「将棋人口のすそ野の拡大を目指しています。高槻市内のどこでも将棋が指せるような状況とか、高槻市から将来、もしかしたら棋士が誕生するかもしれませんので、そういったところを目指して頑張っていきたい」

 今回の名人戦では、勝負めしやおやつも市内の店舗から公募。街全体で対局を盛り上げます。

 その効果もあってか、藤井六冠が1日目午後のおやつに「パンダ」のケーキを選ぶと、その10分後にお店ではケーキを買う将棋ファンの姿が。

将棋ファン:
「7個です、お友達の分も一緒に。今、大盤解説会に行っていて、休憩の時間に私たちで買いに来ました」

 持ち時間9時間、タイトル戦では最長となる名人戦。およそ1500人が見守った大盤解説会場では、高槻市のキャラクター「はにたん」のダンスを解説の棋士が踊るパフォーマンスも。

 会場の外では、藤井六冠が2日目の昼食で注文したB級グルメ「高槻うどんギョーザ」の販売が行われるなど、お祭りのような雰囲気でした。

高槻うどんギョーザの会の会長:
「ギョーザの具材の中にうどんを刻んで入れているんですよ。聡太さんに食べていただくためにパワーを入れて。今日はきっといい知らせが入ってくるやろなと楽しみにしています」

 盤上は2日目の午後から急展開、ペースを握っていた藤井六冠が中盤で勝負をかけると、渡辺名人が逆転。一手一手に緊張を強いられる場面が続く中で、渡辺名人が勝利をもぎ取りました。

渡辺名人:
「ここまで結果が出ていなかったので、とりあえずよかったかなというところです」

藤井六冠:
「中終盤で読みが足りなかったかなと。次局以降、修正できればと思います」

 将棋のまち・高槻市で熱戦が繰り広げられた名人戦は、これで藤井六冠の2勝1敗になりました。

 第4局は21日と22日、福岡県飯塚市で指されます。