将棋の棋聖戦第1局が5日、ベトナムのダナンで行われ、名人獲得と七冠達成後、初の防衛戦に臨んだ藤井聡太七冠が勝利しました。

 藤井七冠はハードスケジュールでお疲れなのか、午前中はあくびをする様子も見られましたが、対局は研究の範囲だったのか猛スピードで進み、午後からは徐々に藤井七冠がリードを広げました。

 終盤、挑戦者の佐々木大地七段が何度も勝負手を放ち、逆転のチャンスを狙いますが届かず。藤井七冠が113手で勝利しました。

藤井七冠:
「お互いの玉が極めて不安定なかたちでの戦いが続いて、そういった距離感を測るのが難しい将棋だったかなと感じています」

 終局後は大盤解説会場に移動し、ファンの前に姿を現しました。

藤井七冠:
「実際こちらに来てみると、本当に素晴らしい対局場を用意していただいて、普段と変わらずというか、普段以上に集中して対局できたかなと感じています」

 挑戦者の佐々木大地七段は…。

佐々木七段:
「海がすごくきれいで、必敗になってから眺めがあまり分からなかったんですけど」

 激戦から一夜明け、6日は「観光デー」でした。

 ダナン市内にある「リンウン寺」。高さ67m、自然災害を守るといわれている「レディブッダ」が有名で、2人で仲良くツーショット。ガイドの教えを受けながら寺院でお祈りもしました。

 その後、パワースポットとして有名な「五行山」に行ったといいます。

藤井七冠(4日):
「世界遺産にもなっているホイアンの市街に行くということなので」

 ベトナムに到着した際、そう話していた藤井七冠。ホイアンも訪れました。

 ホイアンは、棋聖戦第1局の舞台・ダナンから南へ車で1時間弱の所にあります。

 黄色の建物や古い木造家屋が立ち並び、1999年に「古都ホイアン」としてユネスコ世界文化遺産に登録されました。

 旧市街には土産店、レストラン、カフェなどが軒を連ね、トゥボン川にはランタンを吊るしたボートが浮かぶ光景も。夜にはより幻想的な雰囲気も楽しめます。

 ホイアンは日本との関係も深く、16世紀から18世紀に貿易港として発展し、日本からも朱印船貿易によって移り住み、日本人町を形成した人たちがいました。

 その人たちが架けたのが「来遠橋」、別名「日本橋」。ホイアンの象徴といわれ、ベトナム紙幣にも描かれています。

 また郷土料理の「カオラウ」は、米粉の麺に具をのせて醤油ベースの甘めのタレで絡めて食べる汁なし麺です。

 この食べ方は「伊勢うどん」に似ていて、松阪市によると17世紀前半、三重県松阪市出身の商人・角屋七郎兵衛が伊勢うどんを持ち込んだことがきっかけで広まった説があると言い伝えられているそうです。