今は市民のため働く…市職員の26歳女性が13年前に埋めた『タイムカプセル』未来への手紙に“自分の原点”

2010年に閉校した三重県松阪市の仁柿(にがき)小学校で2023年4月、卒業生らが集まり、閉校の記念に埋めた「タイムカプセル」を開封しました。当時の子供たちも今や大学生や社会人。この開封を心待ちにしていた女性を取材しました。
■13年前に閉校した小学校で「タイムカプセル」を開封

2023年4月、仁柿小学校の校庭に集まった若者たち。
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13年前に埋めた「タイムカプセル」の開封式です。

卒業生たち:
「すごい!みんなの写真」
「何これよくわからん、いいかおり?よくわからん」
「身長も180くらいほしいって書いてある。足りやんかった」
「ねこじゃらしは覚えていました」
「本当に?記憶力すごいな」
当時集めていたものや、未来の自分に宛てた手紙。

懐かしいものが次々と出てきます。

このタイムカプセルに、特別な思いを持つ卒業生がいました。
■13年前には想像していなかった自分…市役所に入庁して6年目の女性

松阪市役所に勤める丸山覧さん(25)。

丸山覧さん:
「コロナ関係でプレミアム付商品券っていうのを3年していまして、どの方が対象とかそういうリストとかもまとめて…」
専門学校を卒業して入庁し、2023年で6年目です。商工政策課の職員として、地元商店街の支援などに携わっています。この日は、上司と共に市内の精肉店に出向き、補助金を使った工事の確認です。

丸山さん:
「工事内容とかもこのままですね」
店長:
「そうですね、変わらず」
丸山さん:
「交付決定の通知が届いた時に、完了届の書類とかも一緒に入っていましたかね?」
仕事もすっかり板に付いているように見える丸山さんですが、同行した上司からは…。

上司:
「本当に久しぶりなんだよね、外出て話するの」
丸山さん:
「そうですね」
上司:
「今後もっといろんな方と話できる機会も(増える)。深い所まで、相手さんの思いとかその辺汲めたら良くなるんちゃうかなと思うんやけど」
もっと積極的に街の人の声を聞き取るようにとアドバイス。コロナ禍での業務が長かったことも影響しているようです。
丸山さん:
「もっと深く入り込んだようなお話はできなかったので。コロナでこんな状況とかそういったとこも聞けたらよかったかなと思います」

丸山さん:
「小学生の頃なんて、仕事ってどういうものかすらわかっていなかったので。それに、松阪市の全市民の方を対象にするような仕事をするっていうことも、全然思っていなかったので」
コロナを経験することはもちろん、自分が市民のために働く公務員になっていることも、小学生だった13年前は全く想像していませんでした。
■「自分のためでなくみんなのために」原点は小学校の時の運動会

丸山さんの原点ともいえる出来事が、小学生時代にありました。
母:
「泣けてくる、今見ても泣けてくる」
丸山さん:
「泣けやんよ、恥ずかしい」

親子3人で見ているのは、運動会のDVDです。

閉校の年に行われた“最後の運動会”で、小学6年生だった丸山さんは、鼓笛隊の指揮者を務めました。

丸山さん:
「昔はずっと、毎年運動会で鼓笛隊をしていたみたいなんですけど、復活させようということで最後にやりました」
児童数の減少で中止していた鼓笛隊が34年ぶりに復活。

卒業生や近隣の住民なども参加した大所帯を、指揮者として束ねる役割を任せられました。

丸山さんは、その日のことを卒業文集に綴っていました。

<丸山さんの卒業文集>
はじめは「らんにできるんかなぁ?」と、めーっちゃ不安でした。でも一緒に鼓笛隊をした人たちが「うしろにおるから、大丈夫やでぇ!がんばろなぁ~」と言ってくれました。たくさんの人たちに支えられて、ここまで頑張ってこられたんだなぁ。これからも感謝して生きていきたいです。

丸山さん:
「自分のためじゃなくて、みんなのために。(指揮者は)絶対誰かがしなきゃいけないことだし」

当時、担任だった今西昌子さんは、指揮者としての経験がその後の丸山さんの生き方に影響を与えているのでは、と振り返ります。

今西昌子さん:
「この鼓笛隊を引っ張って行った。最後に挨拶もして終わるという大役をやりきった。いろんな人から沢山の思いを受けて育ってきたので、多分、それを返していけるような子になっていくんじゃないかなっていうのは思いました」

丸山さん:
「自分が鼓笛隊をした時の気持ちとかも、結構忘れていた。多分小学生での思い出ってすごく大切なものだし、今に生きていることもたくさんあると思うので。それを忘れたくないので(タイムカプセルを)開けてみて、その時の気持ちをとかを思い出せるんじゃないかなって思います」
■「人の役に立つ仕事を」…“未来の自分への手紙”の内容は

タイムカプセル開封の当日、すっかり大きくなった卒業生たちが集まります。丸山さんの姿もありました。

丸山さん:
「すごく緊張しました」
同級生:
「してないやろ!」
丸山さん:
「したよ!」
「13年前に何を埋めたか本当にドキドキしています。開けるの楽しみです」

恩師とも13年ぶりの再会です。
丸山さん:
「あ、今西先生!」
今西先生:
「想像した通りというか想像以上というか、すごい!」

丸山さん:
「小学生から会っていないですもんね」
今西先生:
「本当、素敵な大人になったな、もう」
懐かしい顔が揃ったところで、タイムカプセルを掘り起こし、開封しました。

中には、集合写真や当時の新聞。

そして児童1人1人の名前を書いた袋が収められていました。

丸山さんが「未来の自分」へ宛てた手紙を読みます。
丸山さん(手紙を朗読):
「未来の自分。26歳やったら結婚しとってほしいな。子供もおったらいいな。病院の先生とか面白そうやな。コードブルーみたいなの。そんなん無理か、笑い」

丸山さん:
「病院の先生も人を助ける仕事ですけど、市役所の職員としても市民のみなさんのために。ある意味似ているかもしれないです」
「人の役に立つ仕事を」。今の自分に通じる願いが綴られていました。

丸山さん:
「なんか親からの手紙も入っとる」
両親からサプライズの手紙も入っていました。

<丸山さんの両親からの手紙>
Dearらんらん パパとママは、らんらんをほほえましく見ていました。もう、社会人として立派に働いているのでしょうね。自分のなりたい、生きがいのあるお仕事についていることでしょう…。

丸山さん:
「ちょっと泣きそうです。やりたいこと、生き甲斐のあるお仕事できていると思うし、今も家族4人で仲良く過ごせているのでよかったかなと思います」
思い出の品が気付かせてくれる、自分の原点。タイムカプセルは、そんな大切な役割を果たしてくれたようです。
■13年前の自分から今の自分へ それぞれのメッセージ

男性(当時4年生):
「実家で製茶業やっていて、よく手伝っていたんですけど。これでおいしかったら、今後うちのお茶はこうやって出そうかなって思います」

男性(当時2年生):
「『さいとうしゅんいちろうがんばるぞ』って書いてあります。大きくなっているんだなって思いました」

男性(当時6年生):
「『彼女がおる』って書いてあります、いないんですけど、おかしいなぁ。身長も180くらいほしいって書いてある。足りやんかった、175くらいしかないんで」

男性(当時3年生):
「汚い字で書いてあって…『今でも仁柿小学校は好きですか。僕は好きです』って書いてあります」

男性の答えは「やっぱり好きです」。

丸山さん:
「小学校で過ごした日々ってすごく楽しかったし、みんなとの関わりとかもすごい深くて。そういったことをきちんと、胸の中に思いながらこれからも毎日過ごしていきたいなって」

丸山さん:
「地域の人にもちょっとでも恩返しできるように、仕事も頑張りたいなって思いました」
2023年4月10日放送

